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本の紹介「釣って 食べて 調べる 深海魚」

「釣って 食べて 調べる 深海魚」平坂寛文・キッチンミノル写真・長嶋祐成絵、福音館書店たくさんのふしぎ2021年7月号、700円+税


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【森住奈穂 20211021】【公開用】
●「釣って 食べて 調べる 深海魚」平坂寛文・キッチンミノル写真・長嶋祐成絵、福音館書店たくさんのふしぎ2021年7月号

 水深200メートルより深い海で暮らす深海魚。光が届かず、水圧もすさまじい場所で暮らす彼らは、見た目の特異さが話題になることが多い。500メートルも糸を垂らして釣り上げたヘラツノザメは、大きくて不思議な目の色をしている。これはタペータムという反射板の色なのだそう。さばいてみると、浮袋代わりの肝臓は体長の半分ほどもあってビックリ。刺身になった身はアッサリ淡白で、肝を一緒にいただくと美味らしい。そんな珍しい魚から食材としてお馴染みのものまで、いろんな深海魚が登場する。おいしかったり、おいしくなかったり。味から彼らの暮らしを解き明かす。深海魚を見かけたら、これからは味も想像しながら観察してみよう。

 お薦め度:★★★★  対象:深海魚を食べてみたいひと
【冨永則子 20210921】
●「釣って 食べて 調べる 深海魚」平坂寛文・キッチンミノル写真・長嶋祐成絵、福音館書店たくさんのふしぎ2021年7月号

 深海とは海面から200メートルより深い海のこと。実は、私達が暮らす日本は世界で一番「深海に近い国」なのだ。港から船で数十分ほどで深海に辿り着けるところがあちこちにある。その深海に生きる魚を実際に自分の手で釣り上げ、捌き、料理して食べ、そして調べる。図鑑でしか見られない恐竜のように実物を見ることはできないからと敬遠していた深海魚だったが、それを釣ることができると知り、生きたまま捕まえた時から夢中になってしまう。見開きごとにテーマ立てされていて、深海魚の世界が徐々に深まっていく。写真と絵が上手く使い分けられている。それにしても「ほおばると体がふるえ上がるほどまずい」って!どんな味なんだろう?

 お薦め度:★★★★  対象:未知の世界に踏み込みたい食いしん坊に
【西村寿雄 20211020】
●「釣って 食べて 調べる 深海魚」平坂寛文・キッチンミノル写真・長嶋祐成絵、福音館書店たくさんのふしぎ2021年7月号

 深海とは水深200メートル深い海のことである。そんなところに食べられるような魚がいるのかと思いきや、魚市場にも意外と多くの深海魚がいるとのこと。思えば、日本近海は深海が多い。日本列島がいくつもの海溝で囲まれているからだ。その深海魚を釣れると知った著者は、だんだんと深海魚を釣り、料理し、深海魚の特長を知っていくという経過を楽しそうに書いている。まずは、水深500mもの海底にえさをただよわせ竿のあたりを待つという深海魚釣りの話から始まる。以下、東京湾を初め、数々の場所での深海魚の特徴や料理の仕方、味の説明が続く。

 お薦め度:★★★  対象:海釣りと魚料理の好きの人
【萩野哲 20210912】
●「釣って 食べて 調べる 深海魚」平坂寛文・キッチンミノル写真・長嶋祐成絵、福音館書店たくさんのふしぎ2021年7月号

 深海魚がおいしい理由(浮力調節のため鰾の代わりに脂を貯えている)、おいしくない理由(脂ではなく水分を貯えている)を説明したページがあって面白い。オカムラギンメ(写真はフツウのギンメダイに見えるけど)は不味いとの説明だが、ギンメダイは最上級との評価をしている本もあるので、実際はどうなんだろう?お腹の内側まで黒い魚は発光生物を食べた際の遮光(捕食者に見つからないよう)が理由だと。では発光生物は何で光るのかの説明をしておかなくては片手落ちでは?深海魚の眼は浅いところに住む魚より大きいだと(逆も多いけど?)。この本では言い切っている部分が結構多いが、例外も多いことを無視しているんじゃないの?いろいろ考えるとどんな解釈でも通ってしまうやんか!

 お薦め度:★★  対象:あんまりお勧めじゃない
【和田岳 20211010】
●「釣って 食べて 調べる 深海魚」平坂寛文・キッチンミノル写真・長嶋祐成絵、福音館書店たくさんのふしぎ2021年7月号

 とりあえず東京湾に深海魚を釣りに行く。ヘラツノザメ、クロシビカマス、オオメハタ。石垣島でも深海魚を釣る。チカメエチオピア、オカムラギンメ、フトツノザメ、ヒレタカフジクジラ、ビロウドザメ。聞いたことのない魚ばっかり。と思ったら、今度は市場に行く。お馴染みのキンメダイやマダラもれっきとした深海魚。
 日本は身近に深海がある国だよ。と宣言した後、深海魚と、その食べ方の紹介が続く。刺身、フライ、なめろう、煮付け。どれも美味しそうだけど、アンコウのどぶ汁が一番食べたい。そんな美味しい深海魚は、筋肉や肝臓に脂肪をたくわえたり、尿素を貯めたり、筋肉に水をたくわえたりして、浮力を確保してるとか。ノドグロは喉だけでなく、腹の中も真っ黒とか。深海魚は黒いのや赤いのばかりなのには訳があるとか。料理のついでに深海魚の色々なトピックが紹介される。
 まだまだ謎の多い深海魚。一度、深海魚釣りについて行ってみたい。

 お薦め度:★★★  対象:深海魚好きと食いしん坊
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