友の会読書サークルBooks

本の紹介「ツバメのひみつ」

「ツバメのひみつ」長谷川克著、緑書房、2020年8月、ISBN978-4-89531-491-0、1800円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【和田岳 20210221】【公開用】
●「ツバメのひみつ」長谷川克著、緑書房

 ツバメ研究者が、最新の研究成果に基づいて、ツバメの色や形、繁殖や渡りなど、さまざまな側面を紹介。すべてが書かれている訳ではないけど、これ以上詳しく書かれた本は他にない。
 一番面白いのは、日本とヨーロッパと北アメリカで、同じツバメでも姿形も暮らし方もかなり違っているってところ。ツバメのみならず鳥類研究の最先端を垣間見られる。一方で、家にツバメを呼ぶにはどうしたらいいか?ヒナが落ちた時の対応は?と身近な話題も取り上げている。
 ツバメの目が縦長とか、ヒナにはオメガ脂肪酸の多い水生昆虫をあげるとか。ツバメの燕尾の進化の秘密とか。蘊蓄的に楽しめる話題も豊富。

 お薦め度:★★★★  対象:ツバメを知りたければ
【冨永則子 20201216】
●「ツバメのひみつ」長谷川克著、緑書房

 ツバメとスズメ…。日本語でも語感は似ているが、英語になるとツバメが“swallow”でスズメが“sparrow”。確かに、こりゃ似てるわ。名前の語感が似ているでしょ? なんて、こんな不思議な切り口から入り、街で暮らす私たちにも身近な生き物であるスズメと比べながらツバメの生態を紹介していく。ツバメは自然の生き物なのに人の暮らしの近くで、子育てを垣間見せてくれる杞憂な生き物だ。さぞや研究されていると思いきや、最近になって分かったことが多いそうだ。雌雄の生態の違いや子育て、世界中のツバメの違いなどの最新の『秘密』を教えてくれる。文化・芸術面からの紹介もあって、ツバメが昔から人の暮らしに近い存在だったことがよく分かる。個人的には「雀孝行」の話が確認できたことが良かった。それにしても、「シュッとしてる」って大阪人だけが使うのかと思っていた。

 お薦め度:★★★  対象:図鑑の紹介文だけでは物足りない、ツバメの生態に一歩近づきたいと思っている初心者にも
【西村寿雄 20201209】
●「ツバメのひみつ」長谷川克著、緑書房

 いつも目にするツバメ、ツバメに〈ひみつ〉なんてあるのかと思うが、出てくる出てくるたくさんの〈ひみつ〉。外国でのツバメの生活も紹介されてツバメに関する視野がうんと広がる。日本にはツバメとアマツバメなどと、沖縄には琉球ツバメがいる。燕尾が長い方がオスらしい。あの飛翔能力はどこから来るか。感覚器官もさることながら尾翼が飛翔性能を左右する。ツバメといえば一つの巣で仲睦まじくと思いきや、ヨーロッパでは浮気者らしい。日本のツバメは案外まじめ。居住空間とも関連してくる。後半はツバメに関する逸話も添えられている。ヒトもツバメとともに歩んできたことがよくわかる。最後にツバメの未来予想まで語られている。

 お薦め度:★★★  対象:ツバメに興味をいだく人
【森住奈穂 20210224】
●「ツバメのひみつ」長谷川克著、緑書房

 ツバメ。春になると「帰ってくる」といわれるほど、私たちにとって身近な生きもの。だからよく調べられていて、燕尾の長いオスがモテるとか、実は婚外子が3割もいるとか、研究成果を面白おかしく伝え聞いてきた。本書には進化学、生態学、行動学のみならず、文化面、さらには迎え入れ方までも収載されていて、最新のツバメ情報が仕入れられる。私が特に面白かったのは、今これから2種に分かれようかというヨーロッパとアメリカのツバメの地域差について書かれた5章と、リュウキュウツバメの燕尾が短い理由の考察や、まだよく調べられていない越冬地での観察が紹介されている7章。今年のツバメたちが帰ってくるのがますます楽しみになる1冊。

 お薦め度:★★★★  対象:四文字熟語の勉強もできます。「燕頷虎頸」
[トップページ][本の紹介][会合の記録]