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本の紹介「鳥たちの森」

「鳥たちの森」日野輝明著、東海大学出版会、2004年10月、ISBN4-486-01655-6、3200円+税


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【和田岳 20050222】【公開用】
●「鳥たちの森」日野輝明著、東海大学出版会

 日本の森林/多様性シリーズの第4巻。長年、鳥を中心に生物間相互作用を研究してきた著者が、生態を中心に森林の鳥を紹介する。
 第1章は鳥の起源、第2章は種子散布や鳥媒花といった鳥と植物の相互作用、第3章は鳥と昆虫の相互作用の話。第4章は競争・托卵・捕食といった鳥同士の敵対関係、第5章は混群の話を中心に鳥同士の誘因関係が紹介される。第6章は地史や森林のタイプなどによる鳥類相の違いを扱い、第7章では森の鳥たちの保全の問題が取り上げられる。
 生物間相互作用、共進化、多様性をキーワードに、鳥を中心にした群集生態学について一通り解説され、けっこうわかりやすくまとまっている1冊。

 お薦め度:★★★  対象:鳥の生態に興味のある人

【早川友康 20050628】
●「鳥たちの森」日野輝明著、東海大学出版会

 進化の話から始まり、種内関係・種外関係などをたくさんの研究を例に図やグラフを多用して説明しています。いろいろな鳥の生態を知る事ができ読んでて飽きることはありません。ただし一部分かりにくいところがあるので、リラックスして読むには、不向きだと思います。

 お薦め度:★★★  対象:森の鳥について知りたい人、生態に興味をもってる人

【六車恭子 20050309】
●「鳥たちの森」日野輝明著、東海大学出版会

 鳥のことは鳥屋が虫のことは虫屋に、もうそれでは何も解決しない。日本の森は将来的に消えると予想される今、森の鳥の研究者である著者は森で生まれた鳥が森を作り、森を育て、彼らが演じる相互作用が共進化を進め多様性を生み出したとする。生物多様性とは生物間相互作用の多様性にほかならず、生物間相互作用にもとづく共進化が生物多様性を促進するのだ。
 森林の消失は動物種の絶滅に繋がる。森が大地の離島であり、その孤立する島々を結ぶ「緑の回廊」で保護林をつなごうとする試みが始められている。森の鳥を見つめる細やかな視点から森林の効用を説く野心作。

 お薦め度:★★★★  対象:鳥のことを深く知りたい人

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