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本の紹介「都会で暮らす小さな鷹 ツミ」

「都会で暮らす小さな鷹 ツミ」兵藤崇之著、福音館書店たくさんのふしぎ2022年3月号、700円+税


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【森住奈穂 20220617】【公開用】
●「都会で暮らす小さな鷹 ツミ」兵藤崇之著、福音館書店たくさんのふしぎ2022年3月号

 ツミという鷹がいるらしい。日本にいる猛禽類のなかで一番小さく、ヒヨドリと同じくらいのサイズだそう。東京や神奈川では1980年代から住宅地で繁殖するようになり、本書も家の近くで子育てするツミを観察して絵本にまとめたものだ。著者は在野の研究者で絵も自身で描いておられる。優しい色合いと観察に基づく精密なタッチが美しい。視点が観察者ならではで、日を追いながら生態描写が進んでいく。15年以上にもわたる観察ノートを読み返してみると、「多くのできごとが、毎年の繰り返しのように見えて、実はそのとき一度限りの貴重なものだったことがわかる」と。眺めるだけでも楽しいし、ツミの生態について学ぶこともできる。丁寧な丁寧な絵本。

 お薦め度:★★★★  対象:野鳥観察に興味があるひと
【冨永則子 20220611】
●「都会で暮らす小さな鷹 ツミ」兵藤崇之著、福音館書店たくさんのふしぎ2022年3月号

 ツミは猛禽類の一種だが、日本にいる猛禽類の中では一番小さい。全長30センチほど、ヒヨドリぐらいの大きさらしい。もともとは山奥にいて、めったに見られない鳥だったが、1980年代から東京や神奈川の公園や街路樹に巣を作るようになり、作者は2005年から横浜の自宅近くで子育てするツミの観察を続けてきたそうだ。春の渡りから、巣作り、抱卵、子育て、そして秋の渡りまでを繊細な筆使いで伝えてくれる。バードウォッチングの基本も知ることができる。関西では子育てするツミを見ることはできないそうだが、もしかしたら渡りの途中に出会えるかも? 遠くを飛んでる猛禽類しか見たことないから憧れるなぁ。

 お薦め度:★★★  対象:猛禽類が好きな人に
【西村寿雄 20220613】
●「都会で暮らす小さな鷹 ツミ」兵藤崇之著、福音館書店たくさんのふしぎ2022年3月号

 猛禽類に属する鷹は、都会ではワタリなどの時空高く舞っているという印象が強い。渡りのコースにある山に登らないとなかなか見れないのが普通だった。それが近年、都会の住宅地でもツミの声が聞こえるという。横浜や東京の都市近くの雑木林や街路樹でツミが毎年巣をつくっている。著者は「家の近くで子育てするツミを観察してきた」様子をていねいなイラストで書いている。近くで見たツミの狩りの様子から、巣作り、獲物の食べ方、ひなの誕生から巣立ちまで、淡い挿絵で綴られている。

 お薦め度:★★★  対象:ツミについて知りたい人
【西本由佳 20220613】
●「都会で暮らす小さな鷹 ツミ」兵藤崇之著、福音館書店たくさんのふしぎ2022年3月号

 ツミはタカの仲間だけど、とても小さい。ヒヨドリと同じくらいの大きさだ。そしてタカの仲間なのに、都会でも暮らしている。この本は、ツミの子育てや渡りについて、イラストで詳しく解説する。狩りの仕方、えさ、巣をつくるときの枝の折り方、ひなの成長と天敵、そして渡り。観察するときの用意や気をつけることなども書いてあるので、近くでツミを見つけることができれば、ひと夏の観察の手引きとなってくれそう。

 お薦め度:★★★  対象:猛禽という言葉に魅力を感じるなら
【和田岳 20220614】
●「都会で暮らす小さな鷹 ツミ」兵藤崇之著、福音館書店たくさんのふしぎ2022年3月号

 横浜市の郊外の街で繁殖するツミの観察を元に、ツミの繁殖を紹介。最初にツミの紹介、観察方法、狩りの様子をしるした上で、巣づくり、抱卵、育雛、巣立ちと繁殖の様子が順に紹介される。メスにエサを運ぶオス、獲物にされる動物たち、巣立ちの頃のヒナの様子、カラスやオナガとの関係などが、自らの観察に基づいて語られる。巣づくりの最初は枝が落ちてばっかりとか、落ちたヒナが巣に歩いて戻るとか、実際に観察したからこその臨場感にあふれ、他の本では得られないツミの暮らしぶりが判る。

 お薦め度:★★★★  対象:鳥に興味がある人
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