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本の紹介「たくましくて美しい 糞虫図鑑」

「たくましくて美しい 糞虫図鑑」中村圭一著、創元社、2021年7月、ISBN978-4-422-43042-3、1700円+税


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【西本由佳 20211017】【公開用】
●「たくましくて美しい 糞虫図鑑」中村圭一著、創元社

 糞虫好きが高じて奈良で糞虫のミニ博物館をつくった人の本。初めは糞虫のQ&A。糞虫と言えばフンコロガシと思うけれど、日本にはフンを転がす糞虫はほとんどいないそうだ。住む場所によって体の色の違うオオセンチコガネの標本をグラデーションのように並べた写真は、虫好きでない人にもきれいと言ってもらえそう。日本の糞虫図鑑では、小さな糞虫たちがアップで紹介される。日本では大型動物がそれほどいないため、糞虫も小さいものが多いという。よく似た姿だけど、形が少しずつ違っていて、説明を読むと生態にもけっこう違いがあっておもしろい。世界の糞虫は、そのまま飾りになりそうな、きれいなのやかっこいいのが紹介される。最後はフィールドでの糞虫観察について。著者の昆虫少年時代の話や、奈良公園での季節別の見やすい糞虫やおすすめルートなどが紹介される。糞虫観察の入口にぴったりの本。

 お薦め度:★★★  対象:コガネムシをかわいいと思うなら
【萩野哲 20211028】
●「たくましくて美しい 糞虫図鑑」中村圭一著、創元社

 糞虫愛が高じて仕事を辞め、「ならまち糞虫館」をオープンした館長さんの糞虫話。第1章は糞虫とは何ぞやをQ&A 形式で教えてくれる。オオセンチコガネを日本一美しい糞虫と褒めている。糞虫がどれだけ役に立っているか、具体的数値で示した“糞虫たちのサービス”の項は興味深い。第 2章は日本産の糞虫34 種の図鑑と自分の観察に基づく解説があり、特徴を示す写真が付された種もあるが、如何せん写真が小さすぎて理解できないのは残念。この章には外国産の糞虫も38種紹介されていて、糞が原材料とは信じ難いその形や色彩の多様さに目を奪われる。第3 章は糞虫館と奈良公園の糞虫観察などが紹介されている。奈良公園の四季の糞虫観察チェックシートがついているが、そこの写真のオオセンチコガネが瑠璃色でないのは大間違い!

 お薦め度:★★★  対象:糞虫なんて>^< と思っている人
【和田岳 20211204】
●「たくましくて美しい 糞虫図鑑」中村圭一著、創元社

 糞虫の聖地である奈良公園の近くに、ならまち糞虫館という糞虫普及の拠点をつくった著者による糞虫の普及書。  まずは、Q&A形式で、糞虫について解説。その後は、センチコガネ類3種、ダイコクコガネ類2種、エンマコガネ・コエンマコガネ類11種、マグソコガネ類20種と日本の糞虫が登場する。そして、美しいor格好いい世界の糞虫39種の紹介。日本産については、見分け方もそれなりに書いてあるけど、むしろ見分けるための図鑑ではなく、メジャーのエピソードを紹介した感じ。続いて、生いたちから糞虫館をつくるまで、糞虫館の紹介、奈良公園糞虫ツアーなど。盛りだくさんだけど、初心者にはマニアックかも。

 お薦め度:★★  対象:なんか知らないけどオオセンチコガネって綺麗だな、って思った人
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