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本の紹介「「退化」の進化学」

「「退化」の進化学 ヒトにのこる進化の足跡」犬塚則久著、講談社ブルーバックス、2006年12月号、ISBN4-06-257537-X、820円+税


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【和田岳 20070427】【公開用】
●「「退化」の進化学」犬塚則久著、講談社ブルーバックス

 人の体には、かつては機能していたが、今は先祖のなごりとしてあるだけで、なんの機能も果たしていない骨や器官がある。あるいは、進化の過程で、もともとの機能とは別の機能を果たすようになった骨や器官もある。多くの人にはなくても、いわば先祖返りとして、過去の機能を彷佛とさせる特徴を持つ人もいる。耳小骨、ひ骨、結膜半月ヒダ、男の乳首などなど。人のからだのさまざまな場所に残る進化の足跡を、次々と紹介してくれる。自分の体で、進化の足跡を確かめられるというのは、とても面白い。でも、きっと途中で難点あきるので、気になるパートを拾い読むこと。

 お薦め度:★★  対象:自分の体に進化の足跡を見つけたい人

【萩野哲 20070423】
●「「退化」の進化学」犬塚則久著、講談社ブルーバックス

 人間の体に残る退化器官をまとめた本。各々の器官の由来が祖先と分岐年代をまじえて要領よく解説されている。この著者の難点といわれる専門用語の多用は本著にも認められるが、多くの説明図が理解を助けてくれるので、あまり気にならない。最後の章はまとめになっており、退化器官が一覧できる。このような原始形質は人によって発現程度が異なるが、あるものはよく発現し、他のものは発現しない、すなわち古いものと新しいものとが混在する点が非常に興味深かった。

 お薦め度:★★★  対象:自分の体のことを深く知りたい人

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