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本の紹介「草魚バスターズ」

「草魚バスターズ」真板昭夫著、飛鳥新社、2013年9月、ISBN978-4-86410-272-8、1300円+税


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【冨永則子 20140213】
●「草魚バスターズ」真板昭夫著、飛鳥新社

 京都大覚寺大沢池は平安時代に嵯峨天皇が弘法大師空海の進言を受け、中国の最大の湖「洞庭湖」をモデルとして作庭された日本で最も古い人工の池で、作られたままの形で1200年もの間維持されている唯一の池だそうだ。その池に、1988年、繁茂する水草の除去を目的に“草魚”が1000匹放流された。草魚は2年ほどで池の水草を食べつくし、餌を求めて島の木や草の根まで食べ始め、島の形を変えるほどになってしまう。水草がなくなってしまった池は食物連鎖の循環を狂わせ、1200年前の雅な池は悪臭を放つドブ池になってしまった。著者は芸術大学の学生や嵯峨御流の華道家など、自然運動とは今まで縁のなかった人々を動員し、大沢池を再生していく。著者の持論『エコツーリズム』の実践記録。
 その悪戦苦闘ぶりや一般市民の関わりなど、博物館の友の会の活動を思わせる。長居公園の大池のオニバスも再生するといいなぁ。

 お薦め度:★★★  対象:身近な自然環境に興味のある人に、4月の友の会“春祭り”の前に

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