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本の紹介「自然散策が楽しくなる!岩石・鉱物図鑑」

「自然散策が楽しくなる!岩石・鉱物図鑑」川畑清司監修、池田書店、2021年10月、ISBN978-4-262-16757-2、1500円+税


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【冨永則子 20220821】【公開用】
●「自然散策が楽しくなる!岩石・鉱物図鑑」川端清司監修、池田書店

 岩石の種類は、その成り立ちの違いによって“火成岩”“堆積岩”“変成岩”の大きく3つに分けられる。三種類の岩石をさらに、その成り立ちや構成物質によって分類していく。岩石の欠片とその名前を並べた図鑑は多いが、本著では自然の景色の中で見られる姿などから、より詳しく見ていくので岩石を全体像として把握しやすい。ジオパークや、建造物に使われている岩石の紹介もあり、日本全国のガイドブックにもなっている。

 お薦め度:★★★  対象:お出かけ先の景色の成り立ちに興味をもった人に
【中条武司 20221217】
●「自然散策が楽しくなる!岩石・鉱物図鑑」川端清司監修、池田書店

 この本の目玉は、これまでの岩石図鑑と違い、その岩石が作る地形・景観に着目していて、タイトルの「自然散策が楽しくなる」を狙っての本だろう。そこは純粋に読んでいて楽しい。しかし、いろいろツッコミどころが多くて困るなあ。代表的なよくないと思う点が3つ。
・岩石ごとに見られる都道府県に色を付けているだけど、県をべた塗りしているから、その県のどこで見られるかさっぱりわからない。例えば、花崗岩とか、東京・千葉以外はべた塗り。こんなん意味ない地図。
・その岩石の代表的に見られる場所を地図に表しているのだけど、単純に指している場所が間違っている。というか、例えば兵庫県ならどこでも三木市のあたりを指している。「淡路島」って文字では書いていて、本州側を指していたらまずいだろう。
・写真に出している代表的な景勝地が、その横の地図には載っていない。写真載せた場所くらい地図に記そうよ。
 結論としては、本の狙いはいいけど、編集に問題あり。監修者はもっと中身に口を出すべき。あと、鉱物ページが少なくて、こんなんならいらん。

 お薦め度:★★  対象:有名な風景がどんな岩石でできているかにちょっと引っかかりたい人
【西村寿雄 20220823】
●「自然散策が楽しくなる!岩石・鉱物図鑑」川端清司監修、池田書店

 ハンディタイプだが普通の図鑑に比べてかなり情報量が多く読み物としても楽しめる。左ページには風景写真があり岩体全体の景観がよくわかる。解説には、たんに、岩石学的な分類に限らずその石の成り立ちや形状などその石に関する話が多く書かれていて興味深い。右ページに書かれている「見分けるポイント」は石を区別するときの目の付け所となる。日本地図も書かれていて産地の見当がつくものもある。いくつかの火成岩には偏光顕微鏡写真も添えられていて結晶の形がよく見える。加えて「街中散策」も挿入されていてその石が使われている建築物などが紹介されていて興味深い。後半には「岩石を構成する鉱物・宝石」の話も添えられている。少々マニアックな面もあるが、日本は素晴らしい石の宝庫であることが読み取れる。

 お薦め度:★★★★  対象:石に興味のある中高校生から大人まで
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