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本の紹介「寝てもサメても 深層サメ学」

「寝てもサメても 深層サメ学」佐藤圭一・冨田武照著、産業編集センター、2021年5月、ISBN978-4-86311-298-8、1800円+税


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【和田岳 20210827】【公開用】
●「寝てもサメても 深層サメ学」佐藤圭一・冨田武照著、産業編集センター

 水族館勤務の繁殖生態屋さんと、サメ化石研究者が、分担して書いたサメ本。サメの系統と多様性、最大サメ最小サメ、サメの化石、寿命、ペニス、歯、発光、ウロコ。川に出没するサメ、メガマウスなどなど小ネタ多めにサメのいろんな側面が紹介されるが、一番面白いのは、サメの繁殖様式の話。
 サメ業界では、卵胎生という言葉は死後で、卵生と胎生なんだけど。胎生はさらに奥深く、卵黄依存型胎生と母体依存型胎生。さらには卵食、はては授乳までする。そして赤ちゃん共食い伝説。研究エピソードも交えて、まだまだ謎だらけのサメの繁殖様式の話題が続く。とても面白い。

 お薦め度:★★★  対象:サメの繁殖に興味のある人、あるいは卵胎生知ってる知ってるって人
【萩野哲 20210807】
●「寝てもサメても 深層サメ学」佐藤圭一・冨田武照著、産業編集センター

 著者の2人は沖縄の美ら海水族館でサメを研究している。本書は、一般の人々が持つサメに対する誤解を是正し、最新のサメ知識を紹介しているが、やはりメインはサメの繁殖方法を記した章であろう。卵生と胎生、胎仔の共食い、呼吸、排泄など、複雑で未解決の問題が多数残されているとの説明はよくわかったが、文章のみならず、チャートか何かで説明した方が分かりやすかっただろう。それでも、イタチザメやホホジロザメの胎仔の写真には目を見張るものがある。サメの分類についても最初の方にサメが臀鰭の有無により2つの上目に分かれることを明記していることは流石だが、1ページ程度の表にした方が分かりやすかっただろう。

 お薦め度:★★★  対象:サメの真実に少しでも近づきたい人
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