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本の紹介「日本の山ができるまで」

「日本の山ができるまで 五億年の歴史から山の自然を読む」小泉武栄著、エイアンドエフ、2020年1月、ISBN978-4-909355-16-4、2400円+税

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【中条武司 20200505】【公開用】
●「日本の山ができるまで」小泉武栄著、エイアンドエフ

 山の地形は地質に関係し、その地形や地質に関係して動植物の生活が異なる。割と当たり前のことだけど、それをすべて網羅して理解している人はほとんどいないだろう。日本の地質(主に年代)ごとに対応した山について解説し、それぞれに特徴的な地形や植物などを解説する。日本列島のすべての地質を網羅しようとして説明が端折られたり短くなったりしているのが残念。その意味では以前に書かれた「日本の山はなぜ美しい」(古今書院)の方が著者本人が調べた山だけを紹介していたので、読み応えがあった。

 お薦め度:★★★  対象:山に登る人
【中条武司 20200505】
●「日本の山ができるまで」小泉武栄著、エイアンドエフ

 著者は以前から「山の自然学」を研究してきた自然地理学者である。今回は、日本にある各山地240余りを取り上げ、その山の形はなぜそのような形になっているのか、なぜそのように美しいのかなど、地質や植生を中心に解説している。加えて、日本全国の山の地質を美しい写真も交えて紹介している。今回のこの本では、特に地質的な解説に力を入れているだけに、地質学にくわしくない人には少々聞きなれない言葉も飛び出す。しかし、近年のジオパーク志向やブラタモリ等を通して地学的関心の加わっている今日、この本を読むと一層山の地質的景観に関心が深まるだろう。日本各地の山好きには楽しい一冊になっている。

 お薦め度:★★★  対象:山の地質や植生を知りたい山好きの人
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