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本の紹介「なりすます むしたち」

「なりすます むしたち」澤口たまみ文・舘野鴻絵、福音館書店かがくのとも2018年12月号、389円+税

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【森住奈穂 20190222】【公開用】
●「なりすます むしたち」澤口たまみ文・舘野鴻絵、福音館書店かがくのとも2018年12月号

 主人公はアリグモ。アリにそっくりなクモ。登場の場面では、なんだかヘンなアリがいるなぁという感じだけど、葉っぱからピョーンと飛び降りたら、お尻から糸が出てる!クモだと分かる。松葉に化けたオナガグモに食べられそうになったり、アリがいないときを見計らってアブラムシを捕まえて食べたり、小さなアリグモの冒険にドキドキハラハラ。他にもアリの動きをまねるアオオビハエトリや、ハチに似た姿をした虫たち(シマシマモフモフのヒメトラハナムグリが可愛い!)が紹介される。繊細で精密な舘野さんの絵は眺めているだけでも楽しい。ただし、アオオビハエトリの正面どアップ(p.12)は、自分がアリサイズだったらトラウマ確実級のおそろしさ!

 お薦め度:★★★★  対象:虫愛づるひと
【冨永則子 20190221】
●「なりすます むしたち」澤口たまみ文・舘野鴻絵、福音館書店かがくのとも2018年12月号

 分類学的に近い仲間でもなんでもない相手に姿を似せ「なりすます」生物たち。さまざまな生き物たちが互いに関わり合いながら、同じ場所で暮らしているからこそ成り立つ関係だと言える。それらの生き物たちは互いに「食べる・食べられる」という関係で結ばれている。生き物はみな、何かを食べなくては生きてゆけないのだ。蟻に「なりすます」アリグモを案内役に擬態する生き物の暮らしを紹介している。栗の木、葛、ヨモギなどの植物との関係も描かれている。

 お薦め度:★★★  対象:生き物の「擬態」に興味のある人に
【六車恭子 20190222】
●「なりすます むしたち」澤口たまみ文・舘野鴻絵、福音館書店かがくのとも2018年12月号

 あぶらむしのおしりの甘露をなめるアリ、アリそっくりのアリグモ。アリの足は6本、クモの足は8本(?) アリグモは2本の前足を触角のようにあやつる。そこへクモを襲うハエトリグモが…、一本の糸をたどった先には松葉そっくりのオナガグモが、そこにはアリそっくりのホソヘリカメムシの幼虫。クズの葉上にはジャコウアゲハそっくりのアゲハモドキ、…。
 ここは葉っぱの上でムシたちが織り成す饗宴がぎっしりつまった一冊。舘野さんのやわらかな筆致の美しい絵本だ。

 お薦め度:★★★  対象:近くの公園を散歩する母子に
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