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本の紹介「身近な鳥の生活図鑑」

「身近な鳥の生活図鑑」三上修著、ちくま新書、2015年12月、ISBN978-4-480-06859-0、940円+税


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【和田岳 20160514】【公開用】
●「身近な鳥の生活図鑑」三上修著、ちくま新書

 スズメの研究で知られる著者が、町で生きる鳥を紹介した一冊。「鳥にとって町はどんなところか?」を語った第1章に続き、スズメ、ハト、カラスが、それぞれ1章ずつかけて紹介される。基本的な生態と町での暮らしを紹介すると共に、スズメは減っているかどうか、ドバトのルーツ、ドバトとキジバトの違い、ハシボソガラスとハシブトガラスの違いなどのテーマが取り上げられる。ツバメ、ハクセキレイ、コゲラにも少しふれた後、鳥と人のさまざまな軋轢、餌やりや飼育といった問題について、著者の考えが述べられる。何事にも良い面と悪い面があるから、なんでもほどほどにという著者の考えに異存を唱える人は少なそう。説明の仕方が上手で、とても読みやすい。

 お薦め度:★★★  対象:スズメやハトやカラスを知りたい人
【西本由佳 20160618】
●「身近な鳥の生活図鑑」三上修著、ちくま新書

 著者は、都市に住む鳥の生活を描くとともに、都市という、ヒトのつくり出した環境の性格についても目を向けている。森林や農耕地といった自然豊かな環境には及ばないが、都市は都市で、ヒトが作り出した多様で細かな環境が存在し、鳥たちはそれに対応して暮らしている。都市に住む人が、自分の住む環境を考えるのといっしょに、鳥たちの暮らしについても思いをいたしてくれて、うまく共存していけたらいいと思う。

 お薦め度:★★★  対象:都市で暮らす人
【森住奈穂 20160624】
●「身近な鳥の生活図鑑」三上修著、ちくま新書

 町の鳥であるスズメ、ハト、カラスを中心に、ツバメ、ハクセキレイ、コゲラが紹介されている。町の鳥の良いところは、じっくり観察ができるところ。彼らの姿や行動、生態をじっくり観察すると、そこから季節を感じることができるようなるかも。スズメやツバメは数が減っていると言われているけれど、ハクセキレイは町の中で増えてきているもよう。その理由も観察すると見えてくるかも。面白いと思ったのは雀語の解析。これからの研究課題とのことだが、30種類くらいの声があるそうなので、朝のスズメたちの会話が、「オハヨウ」だったり、「アメガフルヨ」だったり、わかる日が来るかもしれない。

 お薦め度:★★★  対象:鳥を見たいなと思っているひと
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