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本の紹介「マグマの地球科学」

「マグマの地球科学 火山の下で何が起きているか」鎌田浩毅著、中公新書、2008年12月、ISBN978-4-12-101978-3、860円+税


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【西村寿雄 20100123】【公開用】
●「マグマの地球科学」鎌田浩毅著、中公新書

 火山学を専門とし教育にも関心を持つ著者が、マグマとそれにまつわる地球上の諸現象について、とても分かりやすく解説した本である。「火山学入門書」とはいうものの、最新の科学研究の成果も取り入れられて興味深い内容が並ぶ。
 最初は、世界と日本の火山学の歴史を説きながら、ウェゲナーの大陸移動説からプレートテクトニクス論へ、そして地球上の火山活動から、マグマの起源、マグマの種類、火山の熱源や火山エネルギーの話へとすすむ。
 所々に挿入されているコラム欄は、生きた地球の話として、より親しみが増す。著者の授業体験談もいい。〈雲仙火山〉の最新研究成果や〈ちきゅう号〉の裏話もおもしろい。近くに火山がないのに湯が出ている有馬や紀伊半島の温泉の話も興味深い。

 お薦め度:★★★★  対象:地球に興味と関心ある方すべて(高校生以上)

【魚住敏治 20100223】
●「マグマの地球科学」鎌田浩毅著、中公新書

 地球の内部、マントル部分はドロドロに溶けていて、それが溶岩となって地表に出てくる。のではなくてマントル部は固体なのです。ではどのようにして溶岩はできるのでしょうか。プレートはどのようにできて、どうなっていくのでしょうか。また大陸部や海底など条件の違う場所での溶岩のでき方ってどんな仕組みになっているのでしょう。そもそもこれらを生み出す内部のエネルギーってどうなっているのでしょうか。そんな疑問にやさしく答えてくれます。
 地球科学や火山学の本は難しいものが多いのですが、この本はなんとなく火山がわかったような気持ちになれます。

 お薦め度:★★★★  対象:地球科学ってわかりにくいと思っている方

【中条武司 20100225】
●「マグマの地球科学」鎌田浩毅著、中公新書

 火山にまつわる様々な普及書を出している著者による、「自然中心」の視点で書いた火山の本。プレート論からマグマの発生や組成変化、岩石学的解釈から見た火山岩(カルクアルカリ系列とか懐かし〜)、火山ガスや火山がもたらす資源についてまで、火山を様々な視点から扱っている。また、全体を通じて物理的・化学的な側面から火山活動および地球科学全般を語れると強調しているところが印象に残る。
 内容に難しいところとやさしいところが入り交じっている、内容の繰り返しが多いなど(共に編集サイドの責任?)の難点はあるが、火山全般を俯瞰するにはいい入門書であろう。

 お薦め度:★★★  対象:地球科学入門者に

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