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本の紹介「幻のカエル」

「幻のカエル がけに卵をうむタゴガエル」大木淳一著、新日本出版社、2006年8月、ISBN4-406-03310-6、1400円+税


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【西村寿雄 20060909】
●「幻のカエル」大木淳一著、新日本出版社

 博物館に勤める著者が8年かけた「幻の蛙=タゴガエル」研究物語である。著者の専門は地質学。地質学者ならではの著者の〈目〉が「幻のカエル」の居場所をつきとめさせたというおもしろいとりあわせの本である。
 川の上流を地質調査をかねて著者は歩く。すると、なにやらあやしい声。
  グゥォ!グォッ!グォッ! グゥォ! グゥ!
 著者が岩石のすき間にペンライトを当てて見ると…、『いた!』。凛々しい顔つきの赤茶色の蛙が居座っていた。幻のタゴカエルである。
 著者は、タゴカエルの棲み家は「せまい空間で,水がわずかだけどずっとしみだしているグジュグジュした環境」であることをつきとめる。
 そこからが地質の専門家。こういう空間は砂岩と泥岩の境界部分であることに気がつく。下部の粘土層の上に水がしたる。そこの割れ目をうまいぐあいにタゴカエルが棲み家として利用している。

 お薦め度:★★★  対象:自然好きの中学生以上

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