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本の紹介「草山の語る近世」

「草山の語る近世」水本邦彦著、山川出版社、2003年7月、ISBN978-4-634-54520-5、800円+税


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【萩野哲 20111221】【公開用】
●「草山の語る近世」水本邦彦著、山川出版社

 第1章「野火と草山」は、「近世の春は山火事の季節だった。」という文章で始まる。草山は、田畑の肥料としての青草の源としての必然であり、山火事の原因は青草の生育を目的とした野火・山焼きであったと、著者は説く。人間と山野の関わりについて、里山の意義が再発見され共生を謳う立場や、逆に近代工業による自然破壊を断罪する立場がある。本書は、変遷する人間の山野への関わりの一面として近世の草山をとりあげ、これらの文明論を再考する機会を与えてくれる本である。

 お薦め度:★★★  対象:人間と山野の関わりについて深く知りたい人

【加納康嗣 20120220】
●「草山の語る近世」水本邦彦著、山川出版社

 江戸時代の人と山野とのかかわりを解き明かした歴史書である。人と自然環境、環境破壊を考える上で、近代工業社会以前の身近な自然がどのような姿であったかを知ることは重要である。それがたとえ今見る里山が、草肥(刈り敷き)や燃料採取のため搾取された草山やはげ山であたり、山火事や土砂災害の多発する自然であったとしても。自然環境を考える良書である。

 お薦め度:★★★★  対象:里山保護や自然環境の保護を考えている人

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