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本の紹介「クモのイト」

「クモのイト」中田兼介著、ミシマ社、2019年9月、ISBN978-4-909394-26-2、1800円+税

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【和田岳 20200220】【公開用】
●「クモのイト」中田兼介著、ミシマ社

 クモ研究者の著者が、クモについてのトピックを次から次へと紹介しまくる一冊。
 第1章は、クモとヒトとの関わりがテーマ。網を作ったり、服を作ったり。クモの糸で作った網で魚を採るなんて楽しそう。一度やってみたい。第2章はクモの生態、第3章はクモの網、第4章は繁殖行動を紹介していく。精子の受け渡し、共食い、求愛。第3章と第4章は、著者の研究テーマに近い感じ。
 第5章から第7章は、クモ的思考と称して、より突っ込んだ内容になってくる。まずは個性、次にコミュニケーション、そして行動の可塑性の話。個性によってクモの社会がどのように成り立ち、行動の可塑性によって、クモがどう生き抜いているのか。著者が興味をもっているテーマが垣間見える。

 お薦め度:★★★  対象:クモを好きでも嫌いでも
【西本由佳 20200216】
●「クモのイト」中田兼介著、ミシマ社

 クモは網を張って待ち伏せるものだけではない。徘徊したり、釣りのように糸を垂らしたりもする。網を張るクモは、糸から伝わる振動を頼りに餌をとるため、視力はあまり良くないが、徘徊するハエトリグモの仲間は、大きなかわいらしい目を持っていて、視力がいい。クモは、種の違いとは別に、同じ種のなかでも個性といえるものがあるという。網に獲物や侵入者が入ってきたらすぐに飛び出していくクモもいれば、おっとりした子もいる。個性は経験にもよるもので、ケンカで小さいクモ相手に勝ちを重ねたクモは、「勝ち癖」がつき、小さくない相手でも勝ちやすくなるそうだ。これは各地に残るクモ合戦にも利用されている。クモの性質だけでなく、クモと人とのかかわりや、クモの生活を通して人の世界を見ていくという視点を持った読み物だった。

 お薦め度:★★★  対象:食わず嫌いせずに
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