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本の紹介「クマムシ?!」

「クマムシ?! 小さな怪物」鈴木忠著、岩波科学ライブラリー、2006年8月、ISBN4-00-007462-8、1300円+税


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【加納康嗣 20060922】【公開用】
●「クマムシ?!」鈴木忠著、岩波科学ライブラリー

 緩歩動物門という初めて聞くような、字も読めないけったいな動物であるのに、目が2つある。愛嬌ある姿や形をして熊のようにのそのそ動いている。それが、何と1770年代から知られていて、「小さな樽型」に固まって全く水分を失っても、あくまでも死んでおらん!命が潜伏している!乾いて眠っている!という信じられない状況で、少なくとも数年間は生き続け、しかも身近な苔の中など何処にでもいる。世界に1000種、いやもっと続々出てきそう。面白くて、わかりやすく、一気に読み切ってしまった。著者の初心の驚きや感動が伝わってくる。いつかこの「乾眠」を科学して、誰でも仙人になる時代が来るかも。

 お薦め度:★★★★  対象:生き物に関心がある人、不老長寿を夢見る人

【高田みちよ 20061020】【公開用】
●「クマムシ?!」鈴木忠著、岩波科学ライブラリー

 某テレビ番組で「絶対に死なないムシがいる」というので始めて知ったクマムシ。クマムシは乾燥、真空、電子レンジ、放射線、超低温、高圧に耐えるらしい。しかし本書の第2章でオニクマムシの飼育顛末が述べられているが、「隙間の好きなオニクマムシが寒天の隙間に入って窒息死する」と述べられている。えっ?簡単に死ぬんじゃないか・・・。
 「絶対に死なない」というイメージが先行したクマムシの本性や飼育方法、研究の歴史などを一般向けによみやすく解説されていて、非常に面白い本である。

 お薦め度:★★★  対象:中学生以上

【石田惣 20060922】
●「クマムシ?!」鈴木忠著、岩波科学ライブラリー

 ある日のこと。ふと思い立ち、干からびたコケに水をかけて顕微鏡でのぞいてみた。ノソノソと動く生き物がいる。クマムシだ。これがクマムシかあ。飼ってみたい! そしてその日から、著者はクマムシの研究者になった。首尾よく成功した室内飼育により、次々と明らかになるオニクマムシの生活史を交えながら、世界のクマムシ研究の歴史と最前線、そして噂の生命力の真相を解説する。キュートな写真や図版がもりだくさん。日本で初めての一般向けクマムシ本。

 お薦め度:★★★★  対象:クマムシを知ってる人も知らない人も

【釋知恵子 20061017】
●「クマムシ?!」鈴木忠著、岩波科学ライブラリー

 開いたところのクマムシの絵がとにかくかわいい。続く図版ページで、クマムシの世界に、どぼどぼと沈んでいく。私にとってはクマムシ元年といえる本との出会いだった。こんな不思議でかわいい生き物が人のすぐ側、コケの中で生きていたとは! 昆虫でもなく、節足動物でもなく、緩歩動物門をクマムシ類だけで構成するクマムシは、特異な存在だ。そしてその存在は著者を魅了した。この本はクマムシに惹かれた人たちの愛情で構成されているといっていいだろう。Vサインをするようなクマムシなど、図版はつねにかわいらしく描かれ、クマムシの研究の歴史やクマムシの生態の不思議が、これまた愛情いっぱいの文章で書かれる。
 正直いうと、クマムシのかわいらしさばかりが印象に残り、クマムシに関する知識があまり頭に残っていない。何度も見て、読んでみようと思う。

 お薦め度:★★★★  対象:クマムシを知っている人、知らない人、すべての人に

【田中久美子 20061020】
●「クマムシ?!」鈴木忠著、岩波科学ライブラリー

 可愛い! 確かに図版や写真のクマムシはのっそりしていて、どこか愛らしい…。これが0.05mm〜1mmという小さな生き物で、どこにでもいるというのも驚きだ。乾くと樽型になるなんて“キケロ星人ジョー”みたい。
 虚実とりませられた不死身伝説といい、その驚くべき生態は、“小さな怪物”と呼ばれるだけの事はある。クマムシ・ワンダーランドをぜひ味わってみてください。
 読後さっそく家のまわりのコケをさがし、それらしきオレンジ色の点を見つけたが、小さすぎて20倍ルーペでは確認できないまま見失ってしまった。

 お薦め度:★★★  対象:

【萩野哲 20060824】
●「クマムシ?!」鈴木忠著、岩波科学ライブラリー

 動物分類表の節足動物の手前に揚げられている“緩歩動物”の実体がこの“クマムシ”である。が、それについて解説したまとまった書籍は今までなかった。本書はそういう意味でクマムシの基礎を語った待望の書籍である。8本足の微小な“クマ”が地球上のいたるところで、名前の通りゆっくり歩いている。何を食べ、どうやって繁殖するか、不老不死って本当?

 お薦め度:★★★  対象:動物のことを何でも知りたい人

【和田岳 20061020】
●「クマムシ?!」鈴木忠著、岩波科学ライブラリー

 ちょっと前までクマムシなんてマイナーな生物を知ってる人は少なかったはず。今ではクマムシは、不死身伝説とともに多くの人に知られるようになった。しかし、その実体をきちんと紹介した一般書はなく、曖昧な伝説のみが広まっていた。そこに燦然と登場した本書。日本初のクマムシの普及書。
 前半では、著者がクマムシ研究に手を染めていく経過と共に、クマムシの分類学的位置、形態、食性、生活史などが紹介される。飼育の苦労や、意外と短い一生などが印象的。後半では、クマムシの不死身伝説の真実が語られる。最後には、コケの中にいるクマムシの観察法も紹介される。
 不死身伝説の謎解きを含め、バランスのとれたクマムシ紹介本になっている。口絵の、殻の中でこっちを向いてるクマムシ。58ページのVサインをしてるデュダルジャンのクマムシの図。改めてクマムシって可愛いな〜、と思わせる。

 お薦め度:★★★  対象:クマムシの不死身伝説を耳にしたことのある人

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