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本の紹介「昆虫の体重測定」

「昆虫の体重測定」吉谷昭憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2016年4月号、667円+税


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【西村寿雄 20160619】【公開用】
●「昆虫の体重測定」吉谷昭憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2016年4月号

 ふつうは1gにも満たない小さな昆虫の重さを、いろいろ工夫しながら量っていく記録が書かれている。まずはテントウムシを電子天びんの上にのせると…、トコトコと歩いてあっという間に飛び立ってしまう。そこで一工夫。透明なビニール袋にテントウムシを入れて重さを量り直すと…、0.4801gと出た。袋の重さを差し引いて、テントウムシの重さは0.05gである。次はもっと軽いヤブカの重さを量る。714匹のヤブカと1円玉が釣り合っているイラストが印象的である。反対に一番重そうなカブトムシの重さを量ると…、なんと10gもあるとか。さすが、昆虫の横綱である。長距離を移動するアサギマダラはうんと軽くできている。昆虫の体も、「体重」という目で見ていくといろいろ違った視点が見えておもしろい。

 お薦め度:★★★★  対象:虫好きの人
【冨永則子 20160612】
●「昆虫の体重測定」吉谷昭憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2016年4月号

 どんなものにも重さはある。はたして昆虫は? 作者は、一般的な料理用の測りでは軽過ぎて測れなかったテントウムシを「電子天びん」を使って測定することを思いつき、これまでに1200種3700個体の昆虫の重さを測ってきたそうだ。測定することで、同じ種でも雌雄による違いや個体差の違いを発見していく。なかでも、幼虫から成虫へ完全変態する昆虫は幼虫の時が最も重く、サナギから成虫になるごとに軽くなっていくことに気付く。昆虫の様々な形態の違いには注目するが、その体重なんて考えたこともなかった。『体重』という一面に、ふと疑問を持ったことから、調べ、考察していく事の面白さが語られている。

 お薦め度:★★★  対象:なぜ?と思う事が科学する入り口なんだと伝えたい人に
【森住奈穂 20160624】
●「昆虫の体重測定」吉谷昭憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2016年4月号

 昆虫の体重がわかると、色々なものとくらべることができる。テントウムシ=切手1枚、1円玉=ヤブカ714匹。カマキリはメスがオスの4倍も重い。そりゃオスは食べられちゃうわ。同じチョウでもオオムラサキとヤマトシジミの体重差は140倍もある。アリは自分の体重の20倍もある獲物を運べるし、オトシブミは体重の25倍の重さの葉っぱを揺りかごに仕立てられる。たった0.1gでも、虫たちの体重で比べると、何倍もの差になるところが面白い。体重を測るって楽しそう。著者は1万分の1gから測ることのできる特別なはかりを使っているそうだけれど、わたしも測ってみたいなぁ。

 お薦め度:★★★  対象:なぜ?と思う事が科学する入り口なんだと伝えたい人に
【和田岳 20160517】
●「昆虫の体重測定」吉谷昭憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2016年4月号

 著者は1200種以上の昆虫の体重を測ったらしい。この本はその結果をひたすら並べてくれる。なーんだ。それだけかぁ。と思いながら読み進んだのだけど、それだけなのに、それが驚くほど面白い。ナナホシテントウは約0.05g、ヒトスジシマカは約0.0014g。ってだけならハイハイって思うだけだけど、ナナホシテントウの体長と体重を何個体も測って並べられると、そんなに幅があるのか〜、とか、雄と雌にあまり差が無いなぁ、とか思いながら見ると楽しい。背面からみるとあまり大きさに違いがないカブトムシとノコギリクワガタが、体重では5倍もの差があるとは驚き。アサギマダラとオオムラサキに6倍もの体重差があって、その生活史とからめて考えると興味深い。体重という新たな切り口で、昆虫を見直させてくれる一冊。

 お薦め度:★★★★  対象:昆虫が好きなら
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