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本の紹介「きのこの下には死体が眠る!?」

「きのこの下には死体が眠る!? 菌糸が織りなす不思議な世界」吹春俊光著、技術評論社、2009年6月、ISBN978-4-7741-3873-2、1580円+税


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【萩野哲 20090824】【公開用】
●「きのこの下には死体が眠る!?」吹春俊光著、技術評論社

 ややびっくりするようなタイトルは、本書がアンモニア菌の紹介を軸に話を進めていることに由来する。アンモニア菌は、死体や糞の分解過程で生じるアンモニウムイオンを栄養源とする菌であり、相良直彦(著者の師匠)による「ぶっかけ実験」でその広範な生息が明らかにされてきた。アンモニア菌の発生源を知るため、野外で発生したキノコの下を必ず掘って確かめる等、執拗な追求により、ついに高い評価を受けるに至る。本書には、アンモニア菌だけではなく、キノコの分類や毒、分布等の話題も載っており、キノコ全体の最新知識を得ることができる。

 お薦め度:★★★  対象:森の不思議の一端を垣間見たい人

【田中久美子 20090827】
●「きのこの下には死体が眠る!?」吹春俊光著、技術評論社

 著者の研究しているアンモニア菌は死体を分解した跡に生えてくるので、こういうお題になったのだそう。その研究話に始まって、「きのことは何か」「きのこの毒」というように詳しくわかりやすい解説が続く。そして又、研究にもどって分布や分類の話。
 ニュージーランドに動物の死体を仕掛けて次の年に菌の発生を確かめに行くというような、ユニークな研究も興味深いし、きのこの話も面白くて、楽しい本に仕上がってる。キノコ好きにはもちろん、キノコの事をあまり知らない人にもぜひ読んでもらいたい。

 お薦め度:★★★★  対象:キノコを知りたい人も知らない人も

【和田岳 20090826】
●「きのこの下には死体が眠る!?」吹春俊光著、技術評論社

 千葉県立中央博物館学芸員の著者が、きのこのさまざまな側面を紹介した本。きのこの分類・形態、毒、繁殖や生活環、暮らし、分布、きのこの研究。きのこについて気になるたいていの事が簡潔に紹介されていて、読みやすい。
 アンモニア菌の暮らしぶり。菌類がいてこそ成立する森の話。きのこの分布の話。とてもおもしろい生態学的なトピックも出てくるのだが、いまひとつ突っ込みが足りず、物足りないまま終わってしまうのが残念。

 お薦め度:★★★  対象:きのこをあまり知らないけど、興味がある人

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