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本の紹介「カラス、なぜ襲う」

「カラス、なぜ襲う 都市に棲む野生」松田道生著、河出書房新社、ISBN4-309-25126-9、1600円+税


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【和田岳 20030424】【公開用】
●「カラス、なぜ襲う」松田道生著、河出書房新社

 東京を中心に、都市で生活するカラスの生活を紹介。都市のカラスについての本はいくつもあるが、文句なしに一番の内容。とくに必ず引用先を明示し、できる限りデータに基づいて話を進めようとする姿勢に好感が持てる。また、いろんな文献が引用されているので、さらにカラスについて調べるにも役に立つ一冊。
 ただし、議論が東京の状況に終始している点がとても気になる。大阪と東京では、同じハシブトガラスでもずいぶん様子が違う。たとえば、大阪でも、人の多い公園の樹の上でカラスが盛んに繁殖しているのに、めったに人を襲わない。この違いをもっと検討して欲しかった。
 
 お薦め度:★★★  対象:カラスの生態のみならず、都市の自然に興味のある人


【河上康子 20030423】
●「カラス、なぜ襲う」松田道生著、河出書房新社

 とても印象的な題名と真っ赤な表紙には緊迫感が漂う。しかし、本書は長年鳥の観察・調査を行ってきた著者が、具体的なデータや文献をもとに、きわめて落ち着いた慎重な展開で、東京圏のカラスの実態を解説し、都市に棲むカラスとの付き合い方を提言している。密林のカラスJungle Crowの英名を持つハシブトガラスが、なぜヒトの集中する都市圏に進出・定着してきたのか、豊富に排出される生ゴミや、ノネコ・ドバト・カモ類へのヒトの餌付けが、結果としてカラスの豊かな餌資源になっていることを説く。都市ではカラスとヒトとの距離が近くなりすぎたことによる事故を防ぐためにも、カラスへの正しい認識をヒトが持つことを、著者は切望している。
 
 お薦め度:★★★★  対象:都市に棲む動物の生態に興味があるひと

【早川友康 20030424】
●「カラス、なぜ襲う」松田道生著、河出書房新社

 最近、東京などの大都市で問題となっているカラス、実はカラスといっても街の中には2種類いた!知能派のハシボソガラス(ボソ)に、肉体派のハシブトガラス(ブト)両種ともに都市で爆発的に増えている。では「なぜ増えたのか?」「何が危惧されているのか?」「どう対策をとればいいのか?」等一般向けのカラス入門書。
 
 お薦め度:★★★  対象:カラスについて知りたい人

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