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本の紹介「イマドキの動物 ジャコウネコ」

「イマドキの動物 ジャコウネコ 真夜中の調査記」中島啓裕著、東海大学出版会、2014年8月、ISBN978-4-486-01995-4、2000円+税


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【和田岳 20141219】【公開用】
●「イマドキの動物 ジャコウネコ」中島啓裕著、東海大学出版会

 若手研究者が熱帯に出かけていって、先輩にお世話になりつつ、苦労してフィールドを開拓し、現地の人とコミュニケートし研究を進める。という、このフィールドの生物学シリーズの定番の一冊。ボルネオに行って、パームシベットを研究する。
 果実食のパームシベットは、かなり重要な種子散布者として機能しているらしい。パームシベットは、原生林よりはむしろ人の手の入った林に多く、プランテーションを上手に利用しているらしい。熱帯の里山の林の研究をしているようなイメージ。パームシベットの生態や種子散布者としての機能は興味深い。でも、全体的に本としてみれば、このシリーズでよくあるパターンという感じは否めない。そして、真面目にデータを出し過ぎ。印象に残ってるのは、ゾウに追い掛けられ弾き飛ばされた話。ゾウは怖いなぁ。

 お薦め度:★★  対象:食肉類による種子散布に興味のある人

【冨永則子 20141208】
●「イマドキの動物 ジャコウネコ」中島啓裕著、東海大学出版会

 ジャコウネコとは、動物の糞から取り出されるコーヒー豆として有名な“シベットコーヒー”の糞の主。“ネコ”とつくがネコ科とは別の科に属する食肉目の動物でパームシベットとのこと。しかも、食肉目なのに果実食の生きものだ。本著でもタイトルではジャコウネコだが、本文中はパームシベットになっていて、しかも、全体の3分の1ほど読み進んで、やっとパームシベットの事が語られる。それまではパームシベットの主食となるドリアンなどの植物や植生のことで、いったい何を読んでいるのか分からなくなってきた。そのうえ、著者の研究や調査にいたる苦労話がたびたび挿入されるのだが、なんだか「こんなに苦労したんだぞ!」と自慢してるように感じる。
 とにかく、ややこしくて読むのがめんどうくさくなった。

 お薦め度:★★  対象:研究者を目指す人に、研究者になるってタイヘンなの?って知りたい人に

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