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本の紹介「皮膚は考える」

「皮膚は考える」伝田光洋著、岩波科学ライブラリー、2005年11月、ISBN978-4-00-007452-0、1200円+税


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【六車恭子 20081030】【公開用】
●「皮膚は考える」伝田光洋著、岩波科学ライブラリー

 著者は私たちの身体の中で皮膚は最も大きな臓器、「外臓である」とし、その積極的な意味づけを皮膚科学の見地から論じた挑戦の書である。
 成人の皮膚面積は畳一畳分にもあたり、ケラチノサイトという細胞と脂質からできている。その死んだ細胞と脂質でできた角層が丈夫な膜となってバリア機能を果たしているようだ。皮膚には電気が流れており、情報伝達物質を合成し、各種ホルモンまで放出する、免疫を司る臓器であるという。表皮が発生のプロセスで中枢神経系と同じ「外胚葉」由来であることから、皮膚はセンサーになって神経より先に感じるのだろうか。著者は一化粧品メーカーの研究者であるが、その守備範囲は東洋医学の鍼灸科学を皮膚科学に応用して未来の医療を拓く最前線の研究者であろう、と納得したしだいです。

 お薦め度:★★★  対象:健康で美しくありたい人に

【和田岳 20080815】
●「皮膚は考える」伝田光洋著、岩波科学ライブラリー

 皮膚は最も大きな臓器であるというコンセプトのもとに、皮膚のバリア機能、電気に対する反応、情報伝達機能、外部刺激センサーとしての機能、精神や健康との関係などが順に述べられる。コンパクトによくまとまっているようには思う。2年後に「第三の脳」という本が出ているが、わけのわからない進化についての記述がない分、こちらの方がお薦めできる。

 お薦め度:★★  対象:皮膚なんて体を覆ってるだけやん、と思ってる人

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