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本の紹介「南極大紀行」

「変形菌な人びと」越智典子文・伊沢正名写真、福音館書店「たくさんのふしぎ」2003年6月号(第219号)、667円+税


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【六車恭子 20031221】
●「変形菌な人びと」越智典子文・伊沢正名写真、福音館書店「たくさんのふしぎ」2003年6月号

 絵本なのか、写真集なのか、虚と実が本文にアトランダムに挿入されていて戸惑う。 しかしそれは時間の軸を行き来する巧みな戦術だったようだ。ここでは微小な変形菌が巨大に色鮮やかにその偉容を現前する。そのディテールの多様さに息を呑む。
 1588年にイタリアの植物学者ポルタ氏は「タンの花」として呼び、マルシャン氏は 海綿の仲間だといい、熊楠は粘菌として愛した。バクテリア食いの変形菌も不可解なら、変形菌という不思議に魅せられた人たちの挙動も不可解だったのでしょう。本のタイトルがそれを言いえて妙。
 
 お薦め度:★★  対象:小さな巨人発掘を楽しめる人

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