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本の紹介「ドローンで迫る伊豆半島の衝突」

「ドローンで迫る伊豆半島の衝突」小山真人著、岩波科学ライブラリー、2017年12月、ISBN978-4-00-029668-7、1700円+税


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【西村寿雄 20180423】【公開用】
●「ドローンで迫る伊豆半島の衝突」小山真人著、岩波科学ライブラリー

 富士山近くや伊豆半島を中心にドローンで撮影した地質景観を紹介した本である。ドローンは対象にかなり接近して撮影できるので画像は鮮明で迫力がある。初めに富士山の山肌が次々と出てくる。地表面すぐ上からの撮影なので富士の荒々しい地肌が手に取るようにわかる。続いて伊豆半島の海岸や箱根火山、駿河湾地形が登場する。海岸上空から見た景色はことに美しい。伊豆大島では三原山の火口もくっきりと見える。後半には「ドローン撮影の威力」として熊本地震の断層写真などもあり鮮明に映し出されている。最後に海外での写真もいくつか添えられている。なかでもイギリス白亜の海岸写真は圧巻である。著者自身が伊豆半島の地質研究者であるだけに、各写真には読みやすい解説が加えられている。最後にドローン撮影のノウハウも付けられていている。

 お薦め度:★★★★  対象:地形に関心のある人


【冨永則子 20180426】
●「ドローンで迫る伊豆半島の衝突」小山真人著、岩波科学ライブラリー

 伊豆半島はプレートの移動で本州にぶつかった。その伊豆半島と箱根山、伊豆大島の3地域はジオパークの認定も受けている。プレートの沈み込みに伴う火成活動や地殻変動によってダイナミックな地形・地質に事欠かない、それらの地形をドローンで上空から撮影していく。ドローンは比較的安価で操作性も簡便なので、ここ数年で一気に一般化した。これまでは上空からの撮影といえばヘリコプターなどを使った有人撮影しか考えられなかったが、無人で、ヘリコプターからでは難しかった高度や角度の撮影が地上からの遠隔操作で出来る。だから、説明したい地形をそのまま写真で見せることができる。なるほど!さすがドローン!

 お薦め度:★★★  対象:ジオパーク・ファンに


【中条武司 20180425】
●「ドローンで迫る伊豆半島の衝突」小山真人著、岩波科学ライブラリー

 ドローンによる画像・動画撮影は、地上に立つ私たちには見ることのできない巨視的な構造をいとも簡単に見ることができるようにした。日本で最も活動的である伊豆半島を中心とした地域を、ドローンを使ってダイナミックな火山をはじめとした様々な地形や構造を見ることができる。難を言うと個々の写真の説明は十分だけど、伊豆半島全体のテクトニクスの話が見えにくい。あと、ドローンの特性を生かして、もっと低高度から撮影した写真(100m以下)が多くあればよかったかもしれない。

 お薦め度:★★★  対象:ダイナミックな地球の活動を見たい人


【西本由佳 20180422】
●「ドローンで迫る伊豆半島の衝突」小山真人著、岩波科学ライブラリー

 ドローンを使って、上空から斜めに撮影した写真によって、伊豆半島の地形を概観しようという趣旨の本。火山、断層、崩壊などの迫力ある写真が並ぶ。富士山の実物を初めて近くで見たとき、その火山然とした様相と大きさに圧倒されたことを思い出した。富士山の写真は数多いが、たいていは遠景だ。生身で近距離から見る光景とはだいぶ印象が違う。この本では、近景から遠景までを俯瞰するように撮ると遠近感が強調されてよくなる、と著者が述べる通り、ドローンで視点を自由に選べることを生かして、地形の特徴をとらえた迫力ある写真を撮っている。

 お薦め度:★★★  対象:自然のつくった絶景を見てみたい人


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