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本の紹介「ドングリの戦略」

「ドングリの戦略 森の生き物たちをあやつる樹木」森廣信子著、八坂書房、2010年7月、ISBN978-4-89694-960-5、1900円+税


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【和田岳 20101217】【公開用】
●「ドングリの戦略」森廣信子著、八坂書房

 著者は、奥多摩で15年ほどにわたって、ドングリのなり具合を調査してきた。その結果を紹介しつつ、ドングリの豊凶と他の生物との関係を軸に、ドングリの暮らしが紹介される。
 ドングリの中に入ってドングリを食べてしまう昆虫。落ちたドングリを大量に食べてしまうクマ、シカ、イノシシ。ドングリを食べるけど、貯食することでドングリの種子散布にも貢献するカケス、リス、ネズミ。ドングリを中心に、いろんな動物が関わりあって暮らしていることが分かってくる。

 お薦め度:★★★  対象:ドングリ好きで、もう少しドングリについて知りたい人

【加納康嗣 20101217】
●「ドングリの戦略」森廣信子著、八坂書房

 奥多摩の森で10数年にわたってドングリの落下量を調べ、結実変動や大きさや形、個性、ふるまいなど他の生物たちの関係性とその戦略を考察したものである。発想は素晴らしい。だが、文章に重複が多く、行きつ戻りつし、「だろうか」と疑問形で終わる文章が多くて読みづらく判読に困った。
 奥多摩のドングリには個性があって結実変動が緩いものになっているようだ。ドングリは雄花の数と結実は連動していないし、捕食者を飽食させては種子を運んでくれないので結実変動も少なくしているらしい。人気のある「風媒花受粉効率説」も「種子捕食者飽食説」も当たらないようだ。

 お薦め度:★★  対象:ドングリの好きな人。頑張って読んでください

【西村寿雄 20101214】
●「ドングリの戦略」森廣信子著、八坂書房

 人間にとってドングリは、子どもから大人まで、野山で最も親しめる植物の実ではあるが、一方で動物たちの大切な〈食料〉になっているのが〈ドングリの本性〉である。著者はこの〈動物とドングリ〉の関係に切り込んでいく。あまり意識すらしないがドングリの成り年とか不作の年(結実変動)、ドングリ固有のあの丸い形、苦さを維持するドングリの味などなど、いずれもコナラ属の生き残り戦略ではないかと著者は推測する。しかし、あまりにも多様な自然界で、それらの謎を解明していくのは至難の業だ。コナラという植物自体が「意識的に戦略を練る」のかどうか。
 著者も最後に書いているように,不確定要素の多い研究ではあるが,ドングリの意外な視点が楽しめる。

 お薦め度:★★★  対象:ドングリの姿、形に関心のある人

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