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本の紹介「道具を使うカラスの物語」

「道具を使うカラスの物語 生物界随一の頭脳をもつ鳥 カレドニアガラス」パメラ・S・ターナー著、緑書房、2018年2月、ISBN978-4-89531-324-7、2200円+税

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【冨永則子 20181220】【公開用】
●「道具を使うカラスの物語」パメラ・S・ターナー著、緑書房

 カラスが賢いことは知っていたが道具まで使うとは思わなかった。ニューカレドニアに棲むカラスは日本で見るハシブトガラスやハシボソガラスより少し体が小さく目がまん丸で大きい気がする。なぜ道具を使うようになったのか、いつから使っているのか、そのあたりがよく分からないが、くちばしが道具をくわえて扱いやすいように真っ直ぐになっているから、進化の中で獲得したのだろうか。
 絵本の体裁で漢字にルビがふってあったり子ども向けのようだが、内容は鳥に興味のある小学校高学年から中学生以上と思われる。読者対象をどう設定しているのか分からない。翻訳が、どうも直訳文のようで読みにくい。科学的なデーターは変えてはいけないが、日本語文として、もう少し読みやすくしてほしかった。

 お薦め度:★★  対象:鳥アタマって悪口じゃないよ!って言えるようになるために
【萩野哲 20181215】
●「道具を使うカラスの物語」パメラ・S・ターナー著、緑書房

 道具の定義にもよるが、かつてヒトと動物とを分ける知能の境界として道具作成・使用が考えられていた。だが、今では多くの動物に道具を使用するものが見つかっている。それらの中で、カレドニアガラスは卓越した道具を作成・使用することが観察されている。本書は、自然状態および飼育状態でのカレドニアガラスの能力を、豊富な写真と図で紹介しており、大変わかりやすい。狭い格子の間に置いた餌を得るために、まずヒモでぶら下げられた短い棒をゲットし、それで檻の中の長い棒をゲットし、それで格子の間の餌をゲットするのは、ちょっと驚きダヨ。

 お薦め度:★★★  対象:カラスの能力を”ホンマカイナ?”と疑う
【西本由佳 20181220】
●「道具を使うカラスの物語」パメラ・S・ターナー著、緑書房

 中表紙を開くと、繊細な黒い羽にりりしい目のカラスの写真と目があって、ちょっと感動する。カラスはこんなにきれいな鳥なのだ。本書は、大人向けの写真絵本という体裁をとっていて、カレドニアガラスが知性を示す様々な行動がきれいな写真で紹介される。地球上に生きものはたくさんいるけど、道具を使う生きもの、さらには道具を作る生きものとなると、限られてくる。カレドニアガラスは葉っぱを切り取ってフック付きの道具を作り、木の穴から幼虫を釣る行動を見せる。野生状態での行動観察、カラスが作った道具の捜索、飼育下での実験などをとおして、カラスの知性とそれを探る研究のおもしろさがわかってくる。

 お薦め度:★★★  対象:鳥は賢くないと思っている人、カラスを好きでない人に
【和田岳 20181221】
●「道具を使うカラスの物語」パメラ・S・ターナー著、緑書房

 道具使用で有名なカレドニアガラスの本。前半は、ニューカレドニアの野外で、幼鳥とその親の様子が描かれる。親が道具を使って、木の穴の中からカミキリムシの幼虫を上手に引っ張り出すのを見ながら、学習する幼鳥。後半は、飼育下での知能に関する実験の様子が紹介される。3段階のステップを経て、ようやく食べ物にありつくという課題を見事にクリア。最後は、なぜか著者へのインタビュー。
 写真絵本の体裁だけど、説明がとても多くて、とても子ども向きではない。実験デザインの説明に図がないなど、全体に説明不足で、ちょっと判りにくい文章とともに、内容が頭に入りにくい。よく判ったのは、著者がスターウォーズファンってことと、カレドニアガラスの嘴の形が変わってるってこと。こんなにしゃくれてるイメージとは。

 お薦め度:★★  対象:カレドニアガラスの写真をいっぱい見たい人
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