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本の紹介「新図説 動物の起源と進化」

「新図説 動物の起源と進化 書きかえられた系統樹」長谷川政美著、八坂書房、2011年2月、ISBN978-4-89694-971-1、2400円+税


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【萩野哲 20110418】【公開用】
●「新図説 動物の起源と進化」長谷川政美著、八坂書房

 最近の分子系統学の進歩により、従来考えられていた系統がかなり見直されている。いくつも驚くような発見があるが、中でも驚きはクジラの仲間が完全に従来の偶蹄類に取り込まれ、一番近い親戚はカバであること。食虫類が実は遠縁の2系統を含んでいたのもそう。形態の相違はあまり当てにならない。キーワードは収斂。真獣類の進化には大陸移動が大きく関わっている。もちろん、これで解決ではないが、今までの常識が覆されるのは、大変刺激的である。

 お薦め度:★★★★  対象:生物多様性と進化に興味がある人

【西村寿雄 20110630】
●「新図説 動物の起源と進化」長谷川政美著、八坂書房

 遺伝学に分子生物学の解析が進んで、今、生物の系統樹が大幅に書きかえられている。この本では、その最新の動物系統樹がコンパクトに解説されている。
 生物はその場所の環境によって似たものがうまれるという従来の見方に対して、現代のDNAが動物の進化と系統を新しく書きかえている。ほ乳動物と鳥類についてのみだが、個々の系統が読み取れる。生物進化が大陸移動とどのようにかかわってきたのかも興味深い。ペルム紀の化石、リストロサウルスが全大陸に存在していることが大陸移動説を証明したともある。各動物の写真入りの系統樹は見やすい。しかし、素人目には全体の系統がつかみにくい。専門家向けの本ということだろうか。

 お薦め度:★★★  対象:動物進化に興味のある人

【和田岳 20110701】
●「新図説 動物の起源と進化」長谷川政美著、八坂書房

 DNAを使って生物の進化の歴史をさぐる分子系統学の成果を、哺乳類を中心に紹介した一冊。かつては、同じグループとされていたのに、DNAを調べると、ぜんぜん違うグループとわかったり。見た目は違うのは実は違う仲間とわかったり。DNAを調べると、動物の形を見ていただけではわからない発見がいっぱい。そして、今までの哺乳類の分類は、大きく変わっています。その最新の成果がわかりやすく紹介されています。
 いま生きてる動物だけでなく、マンモスやマストドンからもDNAを抽出して、調べられているのには驚く。近い将来、恐竜のDNAも調べられるようになるかも?

 お薦め度:★★  対象:哺乳類好き

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