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本の紹介「ダーウィンのミミズの研究」

「ダーウィンのミミズの研究」新妻昭夫文・杉田比呂美絵、福音館書店、1996年6月号、ISBN4-8340-1679-X、1300円+税


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【六車恭子 20041022】【公開用】
●「ダーウィンのミミズの研究」新妻昭夫文・杉田比呂美絵、福音館書店

 ビーグル号にのってガラパゴス諸島で見たことは「ダーウィンの進化論」としてあまりにも有名です。そのダーウィンが40年もかけてミミズの研究をしていた!彼の生涯最後の論文が「ミミズの作用による肥沃土の形成とミミズの習性の観察」という長〜い題名でした。「ドーバー海峡の白亜の輝く崖は魚が作ったんだ・・」「白亜の丘を魚が作ったのなら、牧草地はミミズがつくったということになるかな?」というおじさんの返事から彼の長い研究が始まりました。ミミズに音楽を聞かせてみたり、ミミズの穴に引き込まれた葉っぱの向きでミミズの知能の有無を調べたり、粘り強い実験を試みていたようです。あのちっぽけなミミズが1年あたり6ミリ、大地を撹拌して肥沃土に作り替えていたなんてとても素敵ですね。

 お薦め度:★★★  対象:でっかいことばかりで、小さいことも忘れちゃいそうな人

【高田みちよ 20061027】
●「ダーウィンのミミズの研究」新妻昭夫文・杉田比呂美絵、福音館書店

 ダーウィンといえば進化、種の起源で有名だが、実はミミズの研究をしていた。著者がダーウィンの「ミミズの作用による肥沃土の形成とミミズの習性の観察」という本と出会い、本の内容を紹介してくれる。
 ビーグル号の航海を終えたダーウィンがおじさんのウェジウッド(あの陶器の会社の!)と話していた時、ミミズは土を食べて地表に排出するから、牧草地はミミズが作ったんじゃないかと言われ、実際に試してみる。1842年に牧場の一角に白亜の破片を撒き、29年後の1871年に掘り返してみた。すると地表から17.5cm下に白亜層があった。つまりミミズは1年に6mmの土を排出していたことになる! さて、ダーウィンが白亜を撒いてから150年後、著者は牧場を掘ってみたくてダーウィン博物館を訪れる。が、ダーウィンが白亜を撒いた場所がわからず、あちこち掘るもついに白亜層にはあたらなかった。
 本書ではダーウィンがミミズの様々な生態を研究した事実や、協力者、はてはダーウィンの日課までが紹介されている。絵がかわいく、非常に読みやすい。子供向けではあるが、内容は大人が読んで楽しいぐらいの難解さである。

 お薦め度:★★★  対象:ミミズに興味のある人もない人も

【田中久美子 20061222】
●「ダーウィンのミミズの研究」新妻昭夫文・杉田比呂美絵、福音館書店

 こんな小さな生き物の生態を知るにも40年かかるのだ。それを続けたダーウィンはやっぱりただものではない。研究に協力した御婦人も立派!見守り続けた家族も素敵。ミミズそのものの話も面白い。ダーウィンの研究の仕方も面白い。継続するって大変だけど、結果を形に出来たら素晴らしい。何よりミミズが身近で親しみを感じられるようになるのがうれしい。ミミズが土を耕し、フンが土を豊かにする。それを40年かかって証明したダーウィンも素敵!

 お薦め度:★★★  対象:

【和田岳 20061213】
●「ダーウィンのミミズの研究」新妻昭夫文・杉田比呂美絵、福音館書店

 ダーウィンと言えば進化論。しかし、その一方で、実は40年以上にわたってミミズの研究をしていた。それを知った動物学者の著者が、ダーウィンがどんなミミズ研究をしていたかを紹介してくれるという構成。
 ダーウィンは、ミミズが毎日毎日少しずつ土を掘り返すことで長い時間をかけて肥沃土層をつくる、ということを証明したかったらしい。そのために、ダーウィン自身も長い時間をかけてミミズを研究した。白い石片をまいて、その場所を29年後に掘り返して、その上にミミズがどのくらいの肥沃土を積み上げたかを確認するという、ある意味壮大な野外実験が紹介される。
 日本でも同じことを試してみたらおもしろいかもしれない。一種のタイムカプセルとして、卒業記念にいかが?

 お薦め度:★★★  対象:ダーウィンと言えば進化論と思ってる人

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