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本の紹介「ダニ・マニア」

「ダニ・マニア チーズをつくるダニから毒ダニまで」島野智之著、八坂書房、2012年12月、ISBN978-4-89694-143-2、1900円+税


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【和田岳 20130409】【公開用】
●「ダニ・マニア」島野智之著、八坂書房

 「私は本書を書くにあたり決意した。世の中にカミングアウトをするときが来たのだ。自分のやりたいことを曲げてはいけない。好きなものは好きなんだと言おう」。というわけで、著者はダニマニア宣言したのであった。それが本書。
 フランスで売ってる生きたダニが大量についたチーズの話。世間ではダニの話をしないようにひっそりと暮らし、ダニ学会ではじける世界中のダニ研究者の話。ダニをめぐるエピソードや蘊蓄がとても面白い。ハチドリに運んでもらうダニに、アリの頭について食べ物を横取りするダニ。ピョンと飛ぶダニ。レモングラスの匂いのダニ。
 しかし何より特筆すべきは、ダニの画像のカッコよさ。とくに走査電顕で拡大された画像がカッコいい。コシミノダニとか、マイコダニとか、イトノコダニとか。1000倍でフィギュアを作ったら飛ぶように売れそう。

 お薦め度:★★★★  対象:ダニは気持ち悪いだけと思ってる人

【冨永則子 20130422】
●「ダニ・マニア」島野智之著、八坂書房

 ダニの研究者って、自分の研究対象がダニであることを隠したいのかと、ちょっと驚き…本著はカミングアウトの本とのこと。
 告白されるマニアぶりは非常に興味深いが、ダニの専門的な解説が多くて、マニア話満載とまではいかないところがおしい。もっとダニにたいする“愛”を語ってほしかった。

 お薦め度:★★★  対象:ダニ好きに、微小生物に興味のある人に

【萩野哲 20130424】
●「ダニ・マニア」島野智之著、八坂書房

 ダニについては、青木淳一氏の多数の著書があり、またか、との感もあるが、また違った観点から書かれたのかと、読んでみた。それで気がついたのは、第一にダニは近縁のクモと比較しても極めて多様な生活をしていること、第二に、何の分野でもそうだが、新しい研究法が進歩していること、第三に、チーズ作りやタイ料理など、“食”の観点から語られていること。巻末には、ダニの簡単な見分け方や観察法などが付録されており、便利である。これらの記述の底には、ダニに対する著者の限りない愛情と世間の嫌悪感への反発または葛藤のようなものが流れている。果して、少しでも世間の嫌悪感を和らげることができたのだろうか?

 お薦め度:★★★  対象:生物の多様性に興味がある人

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