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本の紹介「大草原のノネコ母さん」

「大草原のノネコ母さん」伊澤雅子文・平出衛絵、福音館書店たくさんのふしぎ傑作集、2014年4月、ISBN978-4-8340-8081-0、1300円+税


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【冨永則子 20140819】【公開用】
●「大草原のノネコ母さん」伊澤雅子文・平出衛絵、福音館書店たくさんのふしぎ傑作集

 “ノネコ”とは、人の手を離れ自分で餌をとり自由に暮らしているネコのこと。家でペットとして暮らしている飼いネコと同じ『ネコ科イエネコ』だ。ネコの研究者である著者が、オーストラリアの何もない草原で5ヶ月に渡り調査し、ノネコの子育てを中心に紹介している。
 オーストラリアには元々ネコ科の動物はいなかった。今のノネコの祖先は200年ほど前にヨーロッパからの移民たちが連れて来た。殆どが飼いネコ=ペットだったのではないだろうか… そのネコ達がノネコとなり、人の暮らしとは遠く離れた草原でアナウサギをハンティングして子育てをしている。そんなノネコも食料が乏しくなると街へ移動し、飼いネコや野良ネコになって暮らすようになるそうだ。物事がめまぐるしく変わることを例えて“猫の目のよう”というが、ネコは環境や条件によって生き方そのものを上手に変えることができる生物なんだ。
 平出衛さんのイラストもネコたちの躍動感が感じられて楽しい。

 お薦め度:★★★★  対象:猫好きにも、ちょっと猫が苦手な人にも(街にいる猫を見る目が変わるかも?)

【和田岳 20140821】
●「大草原のノネコ母さん」伊澤雅子文・平出衛絵、福音館書店たくさんのふしぎ傑作集

 オーストラリアの大草原で暮らす野性味たっぷりのノネコを調べにいく話。もちろんオーストラリアにもともとネコがいるはずがなく、人が持ち込んで野生化したもの。そんなネコは、同じく人が持ち込んで大増殖してしまったアナウサギを食べて暮らしている。面白いことに、ネコはアナウサギの穴の中に住み込んで、ウサギを喰ってるらしい。ネコがウサギを狩る様子は、サバンナでインパラを狩るライオンのよう。
 オーストラリアにネコが野生化してたら大問題。最後の方は駆除の話につながるのかな、と思ったらそうでもない。大草原でノネコ母さんががんばる話で終わる。生態屋としてはそれでいいのかなぁ、とちょっとモヤモヤが残る。

 お薦め度:★★★  対象:ネコ好き

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