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本の紹介「DNA複製の謎に迫る」

「DNA複製の謎に迫る 正確さといい加減さが共存する不思議ワールド」武村政春著、講談社ブルーバックス、2005年4月、ISBN4-06-257477-2、860円+税


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【魚住敏治 20060216】【公開用】
●「DNA複製の謎に迫る」武村政春著、講談社ブルーバックス

 なんとなくイメージでとらえていたDNA。でも、実際どのようなものかは、理解出来ていませんでした。特にコピーの方法となると想像もつきませんでした。この本はまさにそこに焦点をあてて書かれてあります。
 ミクロの世界で繰りひろげられるDNAポリメラーゼによる正確、かついいかげんなDNAの複製の様子が読み進むにつれてなんとなく自分と同スケールの世界で行なわれているような錯覚を覚えました。
 一つ一つの現象を理解するには、すこしがまんが必要かもしれませんが、豊富にそう入された図が視覚的にカバーしてくれます。

 お薦め度:★★★  対象:高校生以上

【河上康子 20060214】
●「DNA複製の謎に迫る」武村政春著、講談社ブルーバックス

 高校の生物学や大学の一般教養の講義でも、DNAの複製は正確に美しく行われると、そのしくみの概要を教わる。しかし実際のDNA複製の過程はたいへん緻密で複雑であり、とりわけ多くの種類のDNAポリメラーゼという酵素がかわるがわるフル稼働している。それどころか、DNA複製の際には往々にして間違いが生じ、その間違いを修正する機能もまた様々に整っている。生体の持つ細やかでおそるべき機能を、ミクロな視点から改めて認識させてくれる。最前線のDNA研究者が著者であるため、具体的な酵素名や化学構造式が多用されてはいるが、なんとか一般むけにわかりよくとの著者の工夫がみられ、比較的読みやすく仕上がっている。

 お薦め度:★★  対象:DNA複製のしくみに興味のある高校生以上

【和田岳 20060207】
●「DNA複製の謎に迫る」武村政春著、講談社ブルーバックス

 DNA複製の謎というか、DNAポリメラーゼの働き方について、研究者がわかりやすく解説した本。
 例え話がやたらと出てくる。とにかく何かを説明する時には、まず関係ないと思われる話から入る。さらに、ほとんど必要のない図が、たくさん挿入される。イラストの顔は気持ち悪い。
 そんな難点はさておくと、何種類ものDNAポリメラーゼが分業して、DNA複製の際のさまざまな難関を乗り越え、さらに意外と不正確な複製をしていることがよくわかる。分子生物学が苦手でも、さほど興味がなくても、簡単に読める。もしかしたら、蛇足とも思える例え話やイラストのおかげかもしれない。

 お薦め度:★★  対象:DNAポリメラーゼがけっこうがんばってるって知らない人に

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