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本の紹介「小さな骨の動物園」

「小さな骨の動物園」建築・都市ワークショップ+石黒和子編、INAX booklet、2005年12月、ISBN4-87275-834-X、1500円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【釋知恵子 20060212】【公開用】
●「小さな骨の動物園」建築・都市ワークショップ+石黒和子編、INAX booklet

 ある出来事を思い出した。知人とご飯を食べていた時のこと。魚のカマ焼きを注文し、食べ進んでいると知人が「残りはもらってもいいか」と聞いてきた。その後、彼は身をすみずみまで食べ、骨をなめ、きれいに仕上げた。そして家に飾るんだと満足そうに骨を持ち帰った。あの時ちょっとうらやましかったのだ。その骨のカーブがとても美しかったから。
 この本の中の骨は美しい。個性的で機能的な骨が美しく並んでいて、写真集のように好きなところを広げて読んでいける。「頭骨はユーモラス」「飛ぶ骨・飛ばない骨」「生殖のための骨」などのテーマも、骨を実際にたくさん見て触れてきた人たちだからこそ出せたテーマのように思う。途中のエッセイもほどよい長さで、著者それぞれの骨との関わりと思いがまとめられ、興味深く読んだ。眺めるだけなら、子どもたちも楽しめそう。個人的なお気に入りはオリックスの鼻の奥の骨。レース細工みたいとは、なるほど。

 お薦め度:★★★★  対象:今まで動物の骨に興味のなかった人に

【瀧端真理子 20060215】
●「小さな骨の動物園」建築・都市ワークショップ+石黒和子編、INAX booklet

 「海系」の死体は臭いらしい。西澤さんの「みんなで楽しく骨取りしよう!」は、活字のあいまから「あのものすごいニオイ」が立ち込めてきそうだ。ホネ取りグッズの紹介も楽しい。アイスの木製スプーンはともかく、パンの生地分けを毛皮なめしに使うとは。このあたりの知恵や工夫は、思いがけない分野に応用できそうだ。 ドイツの標本作製技術専門学校。職人さんが大事にされ、誇りを持って暮らせる、かの国に思いを馳せる。粉砕機の発明と、骨の超微細粉末の、食品素材化。
 掲載された文章のトーンに一貫性がなく、とまどう部分もあるが、骨を楽しみ、文章を楽しみ、さまざまな使い方ができる本だ。

 お薦め度:★★★  対象:小学生から大人まで

【田中久美子 20060218】
●「小さな骨の動物園」建築・都市ワークショップ+石黒和子編、INAX booklet

 結成4年目にして全国制覇を狙う、なにわホネホネ団の「小さなホネの動物園展」の解説本。カエルやヒメヒミズなどの小動物からダチョウにいたるまでの、美しいホネホネ写真は機能美までとらえてて興味深い。それぞれの思いのこもったホネホネ談義も味わい深い。
 そういえばホネホネ展まだ見に行ってない。えー大阪はきのう終わったって?! まだ名古屋と東京があります!

 お薦め度:★★★★  対象:ホネにあまり興味のない人も見たらきれいと思うでしょう。

【萩野哲 20060208】
●「小さな骨の動物園」建築・都市ワークショップ+石黒和子編、INAX booklet

 数多くの骨の写真と6名からなる骨にまつわるエッセイから構成されている。全72ページの内、最初の24ページが「骨の世界へようこそ」と、この分野への扉となる章、残りが本論である。骨を扱ったものに類書は少なく(あえて挙げれば恐竜もの)、その意味で骨の入門書として意義深いと思う。しかしながら、写真の解説には適切なものとそうでないものが混在しているように思う。例えば、28〜29ページの魚の頭骨の解説には、骨の特徴の説明ではないものが多い。なぜそのような形の骨になったのか、もっと解説がほしいところである。また、類似した骨の比較写真ではどこが違うのか、部分写真ではどの部分なのか等(15ページのキリンの頭骨はどちらから見たものなのか素人にはわからない)、ちょっとした説明図がほしかったところ(D.トムソンの「生物のかたち」を引用するとか)。更に、実際に骨の標本をつくる過程が図解されていれば(標本をつくるためのグッズは紹介されているのはよいがそれをどう使うのか)もっと内容が濃くなり面白かったと思う(私がそう期待するだけで、生々しすぎてあかんかな?)。もっとも、もっと詳しく知りたい人のためにHPアドレスも書かれており、入門書としてはこれでよかったのかも知れない。

 お薦め度:★★  対象:一皮剥いた動物に関心を持ち始めた人

【六車恭子 20060218】
●「小さな骨の動物園」建築・都市ワークショップ+石黒和子編、INAX booklet

 骨にまつわる私の記憶は何処か呪詛にみちている。私のふるさと(徳之島)の島には洞くつに兵士の骨が無造作に投げ捨てられていた。それが夕暮れ時には青白くひかりだす!タンメはそういって私を異界から連れ出そうとした。またグルニエの「フラゴナールの婚約者」でも失った婚約者の骨を自らのコレクションとして展示する解剖学者の地下にある博物館をたずねる、というものであった。そこには何か暗い情熱のようなものがうずまいていた。
 しかしここにはそういう負のイメージはない。学習の場に据え置かれた骨たちは白々と美しく、愛嬌すら感じさせる。骨を愛する彼らは自らの生も愛する日々を生きる開拓者のようだ。それは戦利品のように彼らの学習の成果の賜物に思えて来るから不思議だ。

 お薦め度:★★★  対象:骨の造形美に気づいた人はすでに未来の骨屋かも

【和田岳 20060213】
●「小さな骨の動物園」建築・都市ワークショップ+石黒和子編、INAX booklet

 INAXギャラリーにおける「小さな骨の動物園」展に合わせて作られた小冊子。写真集の合間に、骨に関わりのある6名による3〜5ページのエッセイがはさまれている。執筆陣は、盛口満、西澤真樹子、相川稔、安田守とここまでは自由の森学園関係者。あとは安部みき子、瀬戸山玄。自森組の4人の文章は不思議とトーンが似てて、妙に統一感がある。最後の瀬戸山のは蛇足。
 載っている骨の画像は、どれも美しい。掲載されている骨の半分ほどは、大阪市立自然史博物館の所蔵標本。あの骨がこんなに格好のいい写真になるとは驚いた。写真はライティングと構図次第ってことがよくわかる。エッセイ集としては物足りないけど、骨の写真集としては、なかなかのお薦め。

 お薦め度:★★  対象:骨についてあまり知らないけどちょっと見てみたい人、またはアートとして骨に興味がある人

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