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本の紹介「地球全史」

「地球全史 写真が語る46億年の奇跡」白尾元理写真・清川昌一解説、岩波書店、2012年1月、ISBN978-4-00-006246-6、4400円+税


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【西村寿雄 20120824】【公開用】
●「地球全史」白尾元理写真・清川昌一解説、岩波書店

 近年は、カンブリア紀(5億年前)以前の地球の姿が次々と明らかにされてきた。エディアカラで見つかった化石群、酸素を作り出すストロマトライト、同時に生まれた大量の鉄の層、巨大隕石の衝突跡など、古生代以前の姿が明るみに出てきた。この本は、ほぼ40億年ほど前からの地球の姿を美しい写真で紹介している。
 大型写真集のようなページを1枚1枚めくり、同ページに記されている一言解説を読んでいくだけで、十分に圧倒される。今までは謎に包まれていたカンブリア紀以前の地球の姿から、2011年の男鹿半島の姿まで、次々と目の前に現れる。まさに〈地球全史〉の写真集である。「地質の写真で重要なことのひとつは、その地層の意義がわかるだけではだめで、一般の人でも魅力的と感じる露頭を探し出すことにある。1つのテーマに沿って何カ所も露頭を巡り、ようやく最良の露頭に巡りあって1枚の写真をものにする」という白尾さんの言葉通りの本である。
 後半には少しくわしい解説も添えられている。少し高価であるが、それに見合うだけの本である。

 お薦め度:★★★★  対象:中高生以上、地球の真の姿に興味のある人

【中条武司 20120823】
●「地球全史」白尾元理写真・清川昌一解説、岩波書店

 地球46億年のうち、生命の記録をほとんど残さない先カンブリア時代(冥王代、太古代、原生代)が40億年を占める。そして日本ではその時代の岩石・地層はほぼ残されておらず、その記録は海外、そのほとんどが普通の観光客など行かないような秘境と呼ばれるような山岳地帯や砂漠の中の岩山に残されている。
 本書には古生代以降の写真も半分は含まれているが、この写真集の目玉はこの先カンブリア時代の写真であろう。先カンブリア時代の岩石をこつこつと調べてきた清川氏をガイドに、(たぶん)日本唯一の地質専門の写真家である白尾氏が世界中を駆け回り撮影した岩石・地層の数々。まだ野外で触ったことがない先カンブリア時代の岩石を直に触ってみたいと思わせる写真集だ。
 難点を挙げると、解説が後半ページに固まっているが関連写真と続けてのページの方がよかったのではないか(印刷費の都合?)、また古生代以降の写真は日本のものをもっと入れてもよかったのではないかという点(もう前に出したから?)である。とはいえ、学校や図書館にそろえたい一冊。

 お薦め度:★★★  対象:学校や図書館でゆっくりと

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