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本の紹介「地球に月が2つあったころ」

「地球に月が2つあったころ」エリック・アスフォーグ著、柏書房、2020年12月、ISBN978-4-7601-5286-5、2800円+税


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【西村寿雄 20210621】【公開用】
●「地球に月が2つあったころ」エリック・アスフォーグ著、柏書房

 50年前に月に到着したという著者のエッセイ風読み物である。最近の天文現象について新たな情報を多様に話している。表題の〈地球に月が2つあったころ〉の話もその一部として取り上げている。地球に向いている月面がいつも同じ面であることに疑問を持った著者がとてつもない仮説を持った。月誕生時には月のような物体が二つあって、やがて一つの〈月〉が他の〈月〉に斜めに衝突したという。したがって、潮汐力(固体でも少し伸び縮みしている現象)の働きで月の重心が片寄り、月の片面がいつも地球に向くことになったという。大胆な予想を展開する。雑学的要素が強いが宇宙の成り立ちについて広く楽しく読める。

 お薦め度:★★★  対象:宇宙の成り立ちに興味のある人
【中条武司 20211216】
●「地球に月が2つあったころ」エリック・アスフォーグ著、柏書房

 ちょっと色物っぽいタイトルだけど、至極まじめな惑星・衛星形成論の本。とはいえ、教科書のように系統立って書かれているのではなく、文章の読み口はとても柔らかで、エッセイ風に著者の思考をつらつらと書き連ねているような語りである。しかし、そんな感じで書かれているのがデメリットとなっている面もあって、この書評を書くために「このことどこに書いてたっけ」と内容を確認しようと思っても見つけられない(本文が400ページ近くある上に、章タイトルが抽象的で内容を表していない!)。とはいえ、タイトルの月の形成だけでなく、太陽系と太陽系外の惑星の比較、水や生命の起源、惑星や衛星の軌道についてなど、惑星・衛星についての話題は盛りだくさん。惑星形成論の基礎知識がある人ならもっと楽しく読めるのではないか。

 お薦め度:★★  対象:夜空に惑星を見上げることがある人
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