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本の紹介「地球がうみだす土のはなし」

「地球がうみだす土のはなし」大西健夫・龍澤彩文・西山竜平絵、福音館書店、2021年3月、ISBN978-4-8340-8597-6、1300円+税


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【中条武司 20211216】【公開用】
●「地球がうみだす土のはなし」大西健夫・龍澤彩文・西山竜平絵、福音館書店

 コナラの木が語る体裁をとった、土がどのようにできるかを語った絵本。火山灰や砂が水和作用によって粘土になり、葉っぱが土壌生物によって分解され、それらが混じり合って土ができる。それだけの内容だけど、子ども向けにゆっくり丁寧に説明。でもこの書き方だと土ができるのに火山灰が必須のように読めてしまうけど、必ずしもそんなことはない。また語りにコナラの木を設定する必要はなかったんじゃない。

 お薦め度:★★  対象:森や林に行って土って何と聞かれたら
【冨永則子 20210711】
●「地球がうみだす土のはなし」大西健夫・龍澤彩文・西山竜平絵、福音館書店

 私たちの足の下にあるもの…それが『土』。当たり前に“あるもの”と思っているが、土が土となるためには、長い長い時間と沢山の生き物が必要なんだということをコナラの木に語らせていく。コナラも一粒の小さなドングリから大きな木になるまでには長い長い時間が必要だった。コナラの成長を“土”との関係から語ることで、“時間”という分かりにくい概念がボンヤリとでも理解できるし、そこには沢山の生き物が存在することも想像できる。読者は絵の中の男の子と一緒になって、コナラを通して“土”の成り立ちと、その重要性に気付いていくのではないだろうか?

 お薦め度:★★★  対象:当たり前が当たり前ではない事に気付くために
【西村寿雄 20210819】
●「地球がうみだす土のはなし」大西健夫・龍澤彩文・西山竜平絵、福音館書店

 ごくありふれて見える土について、その生成過程を子どもにわかりやすく描いた絵本。最初に、どんぐり(コナラの実)が土の上に落ちて大きく成長する場面から始まる。「もし、ここに土がなかったら、ぼくはこんなに大きくなれなかった。」と問いかけて、土の生成の話が始まる。ここでは、「土」はある時始まった火山灰の堆積層から始まる。やがて「ねん土」ができる。その「ねん土」に水と空気が含まれ微生物が棲みつく。カビ・キノコが植物を分解する。それをダンゴムシが食べて・・と話は続く。「土」が生み出されるのに、とても長い時間がかかることを大胆な絵で描いている。最後の解説もしっかりしている。著者は土に水が運ぶ物質を研究している「水文学者」。

 お薦め度:★★★  対象:小学低学年から
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