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本の紹介「ありえない!?生物進化論」

「ありえない!?生物進化論」北村雄一著、ソフトバンククリエイティブ、2008年11月、ISBN978-4-7973-4592-6、952円+税


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【加納康嗣 20090826】【公開用】
●「ありえない!?生物進化論」北村雄一著、ソフトバンククリエイティブ

 鳥と恐竜、鯨とカバの近縁関係、鳥の進化、バージェス頁岩の生物などの研究過程を素材にして分岐分類学=分岐学=最節約法(Cladistics:クラディスティクス)のテクニックで進化の歴史を再現する方法論をわかりやすく解説した好著である。データの持つ意味、取り扱い方、新しいデータの役割など、諸課題の考え方が示され、アマチュアでも理解でき、大変面白く引き込まれていく。
 啓蒙書を書いて人気のあるグールドは、特異で違いが際だっているバージェスの生物のそれぞれの違いを「異質性」と呼び、生物には基本的に優劣が無く、進化は偶然が支配すると主張し、生存競争を否定した。彼は多くのデータから導き出す進化の歴史を再現する作業を放棄したといえるが、分岐学では、進化発生学、解剖学、分子遺伝学、古生物学などが明らかにした具体的なデータを検証し、総合的に考察して進化の歴史を構築する研究を続けている。

 お薦め度:★★★  対象:生物に興味がある人

【和田岳 20090826】【公開用】
●「ありえない!?生物進化論」北村雄一著、ソフトバンククリエイティブ

 クジラとカバが近縁だって知ってるでしょうか? 始祖鳥は鳥か恐竜かどっちだと思う? 恐竜は隕石が落ちてきたせいで絶滅したんです。グールドが『ワンダフル・ライフ』で紹介した謎の節足動物たちの類縁関係はどんどん解明されつつあります。
 そういうことが書いてある。生物進化論についてのの解説ではなく、生物の進化に絡んだトピックを紹介しながら、仮説の検証という科学の営みを説明した本。くどいほどに卑近な例をあげてくれるので、もしかしたらわかりやすいかもしれない。科学者の大多数が支持しているからって、それが正しいとは限らないってことは、確認しておいた方がいいかもしれない。

 お薦め度:★  対象:仮説の検証というプロセスを、身近な例で説明して欲しい人

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