質問コーナー 過去のやりとり(2000年7-8月)

寄せられた質問 ・ 質問への回答

質問

2000/8/29 堺市のひろみさんのサクラの木の下に草が生えにくいかについての質問
2000/8/29 茨城県のマイさんのカブトムシの雌に角がない理由についての質問
2000/8/27 和泉市の郁子さんのセミが樹液を吸う樹種についての質問
2000/8/27 川西市の安田直矢さんタマムシのようなハチについての質問
2000/8/26 和泉市の野原美智子さんのツバメの集団ねぐらについての質問
2000/8/25 千葉県松戸市のkimmiesさんの花壇のキノコについての質問
2000/8/24 神戸市の祐介さんのアキアカネが赤くなる理由についての質問
2000/8/24 東京都練馬区のおおば のりゆきさんのトンボについての質問
2000/8/22 茨城県のさくらっこさんの畑のハチについての質問
2000/8/19 和泉市の小田川 平さんのハサミムシについての質問
2000/8/17 山口県の原田喜三さんのゴイサギの声についての質問
2000/8/16 島根の錦織さんの庭のダニについての質問
2000/8/10 堺市の川崎博之さんの光周性の実験についての質問
2000/8/10 京都市西京区の平田和彦さんのキノコの成分についての質問
2000/8/9 熊本県菊陽町のりなっぺさんの緑のドロドロについての質問
2000/8/8 ニューヨークのメイさんのピンクのカナブンについての質問
2000/8/8 新潟市のJinさんのシミについての質問
2000/8/8 静岡県裾野市の畠山さんのトンボのような虫についての質問
2000/8/7 東京のてつさんのプラナリアについての質問
2000/8/6 名古屋のヨアンナさんのヤンマやチョウがいる季節についての質問
2000/8/2 宇都宮市のりさこママさんのアサガオにつく虫についての質問
2000/8/1 東京都の吉田さんの成虫から蛹?についての質問
2000/8/1 東京都の竹中夕子さんのネコのひげについての質問
2000/7/31 大阪市のさくらさんのシバンムシとアリガタバチについての質問
2000/7/29 神戸市のおかわけんいちさんの小さい虫についての質問
2000/7/27 枚方市の志賀真理子さんのセミの産卵についての質問
2000/7/27 倉敷市のMIDORIさんのムカデについての質問
2000/7/27 大阪府のF.Tさんのクワガタムシやカブトムシの採集についての質問
2000/7/27 西宮市のとしちゃんさんのホソハリカメムシについての質問
2000/7/24 仙台市の藤田考一さんのサンショウウオ?についての質問
2000/7/22 石川県野々市町の本多郁夫さんのワルナスビの花の虫についての質問
2000/7/19 北海道室蘭市の原田ユカリさんのピンクのバッタについての質問
2000/7/19 尼崎市の藤原さんの黒曜石についての質問
2000/7/16 東京都世田谷区の金谷繁さんの土を食べるインコについての質問
2000/7/15 千葉県の松浦さんのツバメのヒナの育て方についての質問
2000/7/12 静岡の相羽さんの家コウモリ対策についての質問
2000/7/12 神奈川県の鈴木忍さんのダンゴムシの食べ物についての質問
2000/7/11 和泉市の神田純治さんのカミキリの飼い方についての質問
2000/7/7 箕面市の山東智紀さんの謎のキク科植物についての質問
2000/7/6 群馬県のもろもろさんのムカデの生態についての質問
2000/7/5 岐阜県のゴジラさんのシラカバの植え方についての質問
2000/7/2 船橋市の平栗さんのトリカブトを食べるアオムシについての質問
2000/7/2 東住吉区のサッカンさんの巨大オニヤンマについての質問
2000/7/1 長岡京市のかのっちさんのコバエについての質問
2000/7/1 横浜市のK.H.さんの家の中の虫についての質問


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質問への回答
2000/8/29 堺市のひろみさんからの質問
 「桜の木の下には草は生えにくい?」というテーマで、夏休みの自由研究に取り組みました。桜の花びらか葉には他の植物の生長を阻害する物質が含まれているという話を思い出し、この夏休みに実験してみました。

【実験内容】
 1.水道水
 2.ツバキの葉10枚を浸した水
 3.桜の葉10枚を浸した水
 4.桜のは20枚を浸した水
 5.桜の葉10枚を湯がいたゆで汁
1〜5の水で「かいわれ大根」の種の発芽と生長を観察しました。結果は1→5の順で、発芽率が低く、生長も遅かったです。 
 実験からは「桜の木の下には草は生えにくい」という結論を得ることができたのですが、本当にそうなんでしょうか?

【佐久間学芸員の答え】
 たいへん明快な実験結果だと思います。サクラの葉には、シアン化合物の配糖体(シアン化合物に糖類がたくさんついてるもの、つまり水に溶けやすい化合物)や、クマリンという物質の配糖体が含まれています。どちらの物質も他の生物の成長にはマイナスに働きます。例えば
、細菌の増殖を押さえます。この働きをうまく利用したのが、サクラ餅であったり、その他サクラの葉の塩浸けを利用したものです。クマリンは殺鼠剤の原料に使う場合もあるようです。
 ついでながら、この勝負はツバキは分が悪いですね。というのはツバキの表面にはワックス層があるので、中の成分はあまりとけ出してこないように思います。

 では実際の桜の木の下はどうか、ということを考えるためには、同じことを落ち葉でも試してみないといけません。葉っぱは青いままでは落ちませんから。また、こうした作用が全ての草に同じように働くわけではありません。シアン化合物配糖体に弱い植物もいれば、そのおかげで空いたスペースにかえってはびこる耐性のある植物もいます。
 桜の木の下に草が生えていないといっても、サクラの落ち葉のために生えない植物もいれば、単にサクラの陰になるから生えていないこともあるし、桜の木の下で宴会をする人間の
踏みつけのためである場合もあります。
 このように、実験で確かめたことと野外での観察がそのままつながらないことは結構あります。何でつながらないんだろうと観察したり考えたりすることで、また新しい発見があるかも知れません。


2000/8/29 茨城県のマイさんからの質問
 カブトムシのオスには角があるのに、なぜメスには角がないのですか。メスに角がない理由をおしえてください。

【初宿学芸員の答え】
 カブトムシのオスはクヌギなどの樹液の出ているところで、ケンカをします。たくさん樹液の出るいい場所と、結婚相手のメスを得るためです。角はそのようなケンカをするのに使われているわけですが、戦う相手は必ず他のオスや他の昆虫(クワガタやカナブンなど)です。メスは結婚相手なので、ケンカをしかける必要がなく、メスもケンカをする必要がありません。そのため、メスには角がないのです。

2000/8/27 和泉市の郁子さんからの質問
 セミは樹液を吸うとききました。よくクスノキに止まって鳴いていますが、やはりクスノキの樹液も吸うのでしょうか。クスノキは防虫剤として使われるくらいですから、有毒だと思うのですが。

【初宿学芸員の答え】
 長居公園にはクスノキ林があるのですが、夏になると、その地上にも穴があいて、セミの幼虫が上がってきて羽化をします。近くに他種の木がないので、状況から考えて幼虫はクスノキを吸って育ったと考えて間違いないでしょう。成虫もクスノキによくとまっているので、汁を吸っていると思います。ただ、あんまりおいしいとは思っていないかもしれませんね。

2000/8/27 川西市の安田直矢さんからの質問
 朝、階段で死んでいた奇妙なハチを見つけました。タマムシのような、きれいな色をしているのですが図鑑にのってなくて、名前が分かりません。この虫の名前を教えてください。


【松本学芸員の答え】
 これは、セイボウというなかまのハチです。漢字で書くと青蜂で、多くの種は青や緑、赤などの金属光沢を持った堅い体をしています。写真があまり鮮明ではないので種名までは分かりませんが、色や形から見て、イラガセイボウ、ミドリセイボウ、オオセイボウ、クロバネセイボウのどれかだと思います。腹部の先端にトゲがあるのですが、それが4つならばクロバネセイボウかオオセイボウ(顔が細長く,胸部の先端付近に真ん中のくぼんだ大きな突起がある)、5つならイラガセイボウ(胸部の先端に突起がある)かミドリセイボウ(突起はない)です。セイボウのなかまは、多くの種が他のハチの巣に卵を産み込み、寄生生活を送りますが、イラガセイボウは例外的にイラガのマユの中に産卵しこれに寄生します。

2000/8/26 和泉市の野原美智子さんからの質問
 1998年に淀川での観察会に参加した友達から、つばめのねぐら入りのことを聞いてとても興味を持ちました。つばめのねぐら入りは、今年もまだ見られますか?今年がもう遅いようなら、来年は博物館で観察会の予定はありますか?あったらぜひ参加したいと思っています。

【和田学芸員の答え】
 ツバメの集団ねぐらは、そろそろ集まるツバメの数が減る頃ですが、まだ間に合うと思います。大阪でしたら、堺市の小池か、東淀川区の淀川の豊里へ見に行かれてはどうでしょうか。今年は、豊里では城北菅原大橋にかなり近い辺りに集まっているようです。
 来年度、博物館で、ツバメのねぐらの観察会をするかどうかは、まだ未定です。

2000/8/25 千葉県松戸市のkimmiesさんからの質問
 ガーデニングが趣味で、この夏で2年目。乾燥が好きなゼラニュームの根元に黄色いと言うか蛍光色に近いキノコが発生。最初は1〜2mm位の黄色いカビ?が2〜30個程度発生。そのつど土ごと取り除いていましたが、ある日一夜にして写真(高さ1.5〜2cmが一本また二本…。これは一体何なのですか?よろしかったら教えてください。

もう一点のピンクオレンジのキノコ(無臭)。使わなくなったパソコンデスクを花台に。水をかけるせいか変なモノがでてきました。


【佐久間学芸員の答え】
 お尋ねの黄色いキノコは、「コガネキヌカラカサタケ」Leucocoprinus birnbaumii (Corda) Sing.でほぼ間違いないと思います。マッシュルームと同じハラタケ科のキノコです。とはいえ、食毒は不明です(このキノコが原因とはっきり知られている食中毒はないが、食用にされることもほとんど
ないためわかっていないと言うこと)。花壇や芝生、そして植木鉢やプランターでもよく発生しています。博物館にも質問の多いキノコのひとつです。たとえ毒茸でも食べない限りは無害ですからご安心を。黄色いカビ、というのはこのキノコの菌糸あるいは幼菌だったのでしょうね。
 オレンジのキノコの方はサルノコシカケ類でしょうとしかわかりません。いずれにせよ、まだ発達途上の状態で、種類の判別は難しいでしょう。パソコンデスクも合板製ですから、水をかけてキノコがでてくるのは、ちっとも不思議ではありません。サルノコシカケの仲間もひさしのように突き出すものばかりでなく、べたっと木材の上に拡がるものや写真のように盛り上がった塊になるものもあります。家の中でも例えばお風呂場のすのこや雨戸にナミダタケというキノコが良く生えます。オレンジ色というだけから判断するとシュタケやヒイロタケというキノコもありますが、この状態ではとても断定できません。

2000/8/24 神戸市の祐介さんからの質問
 夏休みの自由研究に、赤とんぼのことを調べています。アキアカネは、夏はだいだい色で、秋になると赤色になることがわかりました。ぼくの住んでいるところでも、そうです。でも、色々な本や、インターネットのホームページを調べましたが、アキアカネがどうしてだいだい色から、赤色になるのかが、わかりませんでした。赤くなる理由と、しくみを教えて下さい。おねがいします。

【金沢学芸員の答え】
 赤くなるのは、アカネ属のオスが多いのですが、赤くなる理由やメカニズムについて書いてある本が見あたりませんでした。トンボの研究者に問い合わせてみましたが、赤くなるメカニズムについては、成熟するにつれて赤い色素が蓄積されるのだろうが、詳しいことはまだわかっていないとのことです。
 赤くなる理由については、いわゆる婚姻色で、メスに自分が成熟したオスであることを知らせたり、他のオスとはりあうのに都合がよいからだろうと考えられます。

2000/8/24 東京都練馬区のおおば のりゆきさんからの質問
 家の庭でつかまえたトンボの写真を送ります。生きている時は、目が緑色でした。羽の付け根が、少しだけ茶色くなっています。頭からしっぽの先まで55mmありました。
 今までみたことの無いトンボなので、図鑑で調べてみました。さなえとんぼの仲間だということは、わかるのですが、なにトンボか教えてください。また、ふだんはどういうところにすんでいるのですか。


【金沢学芸員の答え】
 写真で昆虫の種類を同定することはできません。正確な名前を知るには、捕まえたトンボを標本にして、近くの自然史系博物館で種類をきくのが近道です。
 せっかく送っていただいたのですから、写真から推定してみます。体の黄色の部分から判断すると、オナガサナエが最も近いような気がします。腹部の先端近くの黄色の帯が太いところが似ています。ところが、胸部の斑紋は異なるようです。個体による違いがありますので、やはり標本でないとはっきりしません。
 オナガサナエであれば、平地、丘陵地の川の中〜やや上流域に幼虫がすみますが、羽化した成虫は、水辺を離れて樹上生活をします。

2000/8/22 茨城県のさくらっこさんからの質問
 学校のサツマイモ畑で蜂を見つけました。特徴は、色は黒、模様はなし、体長3〜4センチメートル、地面に穴を掘っています。生きたバッタをつかまえてその穴に入っていくのを見ました。少なくても数匹いるのを確認しました。この蜂は、人間を刺すのでしょうか?子ども達も畑で作業をするのでどのような注意が必要でしょうか?

【松本学芸員の答え】
 バッタを捕まえて地面に引き込んだということですので、キアシハナダカバチモドキという狩りバチの可能性がありますが、色が黒というところがこのハチとは違います。「バッタ」がキリギリスのなかまを含んでいるであればクロアナバチということも考えられます。
 これらの狩りバチは、向こうから人間を刺しにくることは決してありませんので、特に気をつけることはありません。もちろん指でつまんだりすれば、身を守るために刺します。
 ハチも幼虫のために巣穴を掘って、獲物を狩って、と一生懸命子孫を残すために重労働をこなして
いるわけですから、作業中に巣を壊さないといった気配りは必要でしょう。
 巣穴掘りから、狩り、穴埋めなど、ハチの生態を観察するいいチャンスだと考えてはいかがでしょうか。

2000/8/19 和泉市の小田川 平さんからの質問
 白菜キムチにハサミムシが入っていました。ハサミムシは白菜を食べるのですか?
何を食べて生活しているのですか?教えて下さい。

【金沢学芸員の答え】
 動物系統分類学7(下B)という本によると、ハサミムシ類は雑食性ですが、動物食の傾向が強く、生きている虫でも死んでいる虫でも食べ、共食いもするということです。また、ヨーロッパの種類では、植物の花弁や若葉を食害するという話もあります。
 白菜キムチに入っていたのは、白菜を食べていたというより、根際や葉の間にいたものが、たまたま入ったという可能性が高いと思います。

2000/8/17 山口県の原田喜三さんからの質問
 岩波書店の広辞苑の「ごいさぎ」の項に”ごいさぎは「かあかあ」と鳴く”という記載がありますが、私は、ゴイサギがかあかあと鳴いているのを聞いたことがありません。ということで、この記載に関して疑念を抱いています。ゴイサギの声はやっぱり「ぐあー」とか「ごあ」だと思うので、次の版の広辞苑ではせめて「ぐあー」と鳴くという一言を付け加えてもらいたいと思っています。
 そこで質問します。
1.ゴイサギは「かあかあ」と鳴きますか
2.夜「かあかあ」鳴く鳥はいますか(カラス?)

【和田学芸員の答え】
 私もゴイサギの声は、「ぐわっ」っという感じに聞こえます。確実に濁った声を出しますし、二声続けることもないと思います。
2000/8/16 島根の錦織さんからの質問
 我が家の庭に、野ダニがたくさん発生して困ってます。今年の1月まで犬を飼っていたのでそのせいかなって思いますが、犬の血を吸うとパンパンに膨らむダニなんですけど、庭の草取りをした後よく足についています。よく見ると赤くなっていて、後からモーレツに痒くなります。どうしたらいなくなるでしょうか。

【金沢学芸員の答え】
 イヌの血を吸ってパンパンに膨らむダニは、たぶんマダニ類でしょう。イヌに多いのはツリガネチマダニで、都会でも多い種類です。
 イヌを飼っていたときに多かったマダニも、数年経てばほとんどいなくなります。マダニ類は地上に落ちて別な宿主を探す場合には、なにも食べずに1〜2年は生きると言われていますが、宿主のイヌがいなければそのうち死んでしまうでしょう。
 いなくなるまでは、庭に出た後に、マダニがついていないかよくチェックします。マダニが体に食いついていたら、十分に吸血して落ちて産卵するまでに、虫除けスプレーなどで皮膚から取り除き、殺してしまいます。無理に体をひっぱると、口器がとれてしまって化膿します。
 数年間も待てない場合には、薬局で殺ダニ剤を入手してください。

2000/8/10 堺市の川崎博之さんからの質問
 光害が植物におよぼす影響を調べたいと思い、プランターに植えた朝顔を二つ用意し、片方は通常の環境、もう一方を、一晩中電気を照らした環境で育てています。現在、通常の環境は朝顔の花が咲き、つぼみもたくさん付いていますが、電気を照らした方は、つるの伸びはすごいですが、つぼみは全然ついていません。
 このように、実験では明らかな差が出ていますが、文献でもっと詳しく調べたいと思っています。図書館に行って調べても、それらしい本が見あたりません。何かいい本があれば、紹介していただけないでしょうか。それと、他に調べるに当たってアドバイスしていただけることがありましたら、よろしくお願いします。

【岡本学芸員の答え】
 大きな図書館で、<光周性><短日植物><長日植物>などの言葉をキーワードにして探せば,よい文献が見つかるかもしれません。
 古い本ですが、滝本敦(著)「ひかりと植物」大日本図書(1973)は、光と植物の関係を全般的に扱った本で、光周性を解説した章があります。同じ著者による解説が、小学館の「園芸植物大事典」第6巻の用語解説のページの<光周性><短日植物><長日植物><中性植物>の項に出ています。
 アサガオは短日植物で、夜の長さが一定時間以上にならないと花芽が分化しません。短日植物、長日植物と呼んでいますが、実際に大切なのは夜の長さであり、長夜植物、短夜植物と呼ぶ方が適切かもしれません。アサガオの場合には9時間以上の暗期が必要ということです。これは大阪付近の夏至の夜でも足りる長さですが、実験されているように照明によって夜をなくしてやると、花芽ができないことは短日植物である証拠です。
 これから実験をどのような方向にもっていくか、工夫の見せ所です。「単純に花を咲かせる」「花芽をつけていない株が何株かあり、分離できるのなら、いろんな環境に置いて花が咲く条件を調べる」「特定のツルに袋をかぶせ暗闇にしてやり、そのツルだけに花が咲くかどうかを調べてみる」「暗闇に置いたツルの影響がどこまで及ぶか調べてみる」等々、いろんな実験が考えられます。

2000/8/10 京都市西京区の平田和彦さんからの質問
 夏休みの自由研究で、「クワガタムシの幼虫の成長とキノコの関係」について調べ、実験しています。調べているキノコの種類は10種類で、ブナシメジ、クヌギタケ、シイタケ、カシタケ、クリタケ、エノキタケ、ムキタケ、ヒラタケ、ナラタケ、カワラタケです。
 以上のキノコの栄養成分や特徴、いろいろなデータや資料などを入手したいのですが、その方法を教えて下さい。

【佐久間学芸員の答え】
 栽培しているキノコの栄養分などについては、農村文化社が出している「きのこ年鑑」か共立出版の「きのこ学」が資料になるでしょう。高い本なので図書館などで探して下さい。特産品でつくっているようなキノコまで含めての資料になっていますので、結構のっているはずです。
 ただ、クワガタの幼虫に関係するキノコは、当然木材腐朽菌ですので、木に何を使うのか、おがくずなのか原木なのかによっても成分などは確実に影響されます。こうした違いはクワガタの成長にも影響するのでしょう。

2000/8/9 熊本県菊陽町のりなっぺさんからの質問
 この前昆虫がつぶれていたのを見たのですが、緑色のドロドロしたものが出ていました。この緑色のものはいったいなんでしょうか?教えてください。

【松本学芸員の答え】
 昆虫の中には植物の葉を食べるものが多くいます。それらの昆虫では、大顎でかみ砕かれた葉っぱは食道にはいり、人間と同じように消化されていきます。ガの仲間の幼虫などでは、糞になるまで緑色ということもあります。昆虫の体がつぶれてしまった場合、そのような消化途中のどろどろの葉っぱが出てきます。これが「緑色のドロドロ」にみえたものの正体だと考えられます。
2000/8/8 ニューヨークのメイさんからの質問
 先日京都の鈴虫寺にいきました。すると、空中を蛍光ピンクのそれはもう美しい
昆虫が飛んでいます。追いかけて行くと、下に仰向けに落ちていたカナブンが。早速拾うと、それは蛍光みどりでなく蛍光ピンクでした。そんなカナブンを見たのは生まれて初めてで、感動してしまいました。後々とても気になって、是非正体をしりたいのですが、種名をご存じでしたら是非教えてください。

【初宿学芸員の答え】
 コガネムシの仲間で「蛍光ピンク」というのは、思いつく種類がありません。シロテンハナムグリというカナブンに近い一種で、やや赤っぽい銅金色のものがいます。あるいはふつうのカナブンでも、やや赤みのある緑色をしたものがあります。これらのことかな、などと想像しています。当方も気になっているので、また採れたら、ぜひ標本を送ってください。

2000/8/8 新潟市のJinさんからの質問
 最近、家の中にゴキブリみたいな感じで、変な虫が出で困っています。図鑑などで調べたら どうもシミ目のシミもしくはイシノミではないかと思うのですが、細長くつぶすと蛾のような燐粉がついてて、全体に細長いカワゲラ(水生動物)みたいな感じで、体長は1〜2センチ位で、すごくすばしっこく動きます。窓枠や出窓付近に多くでます。残念ながらその図鑑では生態とか出でなくて(名前だけ)きもちわるいです。人体には害はないのでしょうか?それと駆除の方法があったら教えてください。

【金沢学芸員の答え】
 お尋ねの虫はシミの仲間で、セイヨウシミかヤマトシミと思われます。人体に害はありませんが,古本などの紙や糊を食害する害虫です。食害されて困る貴重な古本などがあれば、駆除の必要性があるでしょうが、放っておいても通常は支障ありません。どうしても駆除したいときは、薬局などに相談して下さい。

2000/8/8 静岡県裾野市の畠山さんからの質問
 先日偶然に見たことのない虫を捕まえました。とんぼのように見えるのですが長い触覚?様の部位が見られます。Webでトンボの図鑑を閲覧しても同じような種は見られませんでした。御教授よろしくお願いします。


【松本学芸員の答え】
 写真の虫はオオツノトンボだと思います。ツノトンボと名前がついていますが、トンボのなかまではなく、ウスバカゲロウ(アリジゴクの成虫)に近いなかまです。成虫は一見トンボに似ていますが、観察されているように長い触角によってすぐに区別することができます。
 幼虫はアリジゴク型ですが、巣穴を作らず自由生活を送りながら小さな虫を捕まえ、その体液を吸います。日本には他にもキバネツノトンボ、ツノトンボの2種のツノトンボのなかまが生息しています。

2000/8/7 東京のてつさんからの質問
 従兄弟が飼っていたプラナリアが死んでしまい、また、採集にいきたいと申しているのですが、
関東で、プラナリアを採集できるような場所を教えていただきたいのですが。また、飼うとき注意点や、飼育方法なども併せて教えて頂ければ幸いです。

【山西学芸員の答え】
 残念ながら関東地方の産地に関する情報は持ち合わせていません。生息場所は水のきれいな川底や池底、落ち葉や石の裏を探します。少し山手にいけば、比較的簡単に見つかると思います。いることがわかれば、レバーの切れ端を沈めておいて集めます。飼育する場合の餌もレバーです。夏季には水質管理を怠らず、餌を与えすぎないことです。

2000/8/6 名古屋のヨアンナさんからの質問
 子どもが進学塾で出されたプリントを解いているのですが、書籍で調べた結果と解答が少し異なるので、正確な内容を知りたいと思い、質問させていただく次第です。
 ・オニヤンマは秋にしかいないというのは本当か。夏にもいるか。
 ・キタテハは夏に生きる昆虫か。春に生きる昆虫か。
 ・「春になるとあらわれる。あたたかい地方では、春〜秋の間に、5〜6回もたまごから育ってあらわれる。」アゲハはこの記述にあてはまるか、あてはまらないか。
お答えいただけたら幸いです。

【金沢学芸員の答え】
・オニヤンマは秋にしかいないというのは本当か。夏にもいるか。
 オニヤンマの成虫は秋よりも夏に多く見ると思います。目にはつきませんが、もちろん一年中います。

・キタテハは夏に生きる昆虫か。春に生きる昆虫か。
 
生物はすべてそうですが、キタテハも一年中生きています。成虫で越冬して、春に産卵して7〜8月に成虫が羽化し、秋の8〜9月にもう一回成虫が羽化します。それが越冬します。

・「春になるとあらわれる。あたたかい地方では、春〜秋の間に、5〜6回もたまごから育ってあらわれる。」アゲハはこの記述にあてはまるか、あてはまらないか。
 
アゲハは九州では、年4〜5回成虫が発生し、北海道では2回、本州では4回くらい成虫が発生します。引用した文章がその通りだとしたら、舌足らずで不親切な設問です。「春になると成虫があらわれる。あたたかい地方では、春〜秋の間に、4〜5回も成虫があらわれる」であれば、アゲハはこの記述にあいます。

2000/8/2 宇都宮市のりさこママさんからの質問
 小学校一年生の娘が、学校からもって帰ったアサガオに、3センチくらいの青虫(緑色)が2匹ついていました。成長すると全体はうすーい灰色がかったベージュになり、尻尾に「アンコウのつの」
のようなカギ状の突起が1本ついている。足の付け根あたりにはずっと白いラインが入っていてその少し上に、黒い斑点が並んでいる、片側に5-6個。体表はミミズのようにつるつるしていて、特に末期にはパンパンでかなりおぞましい姿。体調は8-10cmにおよび、直径も1cmくらいあったと思う。
 ある日、見あたらなくなりました。ところが、アサガオに水を上げると、苦しそうに、巨大な2匹が土の中でもごもごしていました。図書館に行き調べたところ、「オオスカシバ」なる黄緑色のガの幼虫に酷似しています。
 長くなりましたが、質問は次の通りです。
1)正体は、「オオスカシバ」 なのでしょうか?
2)彼らは、毒性はないのでしょうか?体調は何センチ?
3)彼らは、何日間土の中にこもっているのでしょうか?いつ出てきちゃうのでしょうか?
4)地上に出てきたら、すぐその近辺に次なる卵を産んじゃったり
するのでしょうか?それともどこかへ飛んでいってしまうものでしょうか?

【金沢学芸員の答え】
 オオスカシバはクチナシ類だけを食樹としており、アサガオを食べるこの種類とは別なものです。お尻の先にトゲがあるので、スズメガ類の幼虫だと思われます。サツマイモなどによく見られ、アサガオも食べるエビガラスズメの幼虫の可能性がありますが、上の記述だけでは同定できません。
 エビガラスズメであれば、成虫の体長は5センチくらいで、ハネはやはり5センチくらいあると思います。土に潜ってから2日ほどで蛹になり、10日〜2週間ほどで成虫が羽化すると思います。
 毒性については情報はありません。チャドクガのような人間の皮膚に発疹をおこす毒毛はありませんが、大きな幼虫が隠れもしないでいるということは、体内に毒をもっていて、鳥などの天敵から身を守っている可能性があります。
 羽化した成虫は、ハネが伸びきってかたくなったら、どこかに飛んで行くでしょう。どこかで交尾して、メスであれば、またアサガオなどに産卵すると思います。お宅に戻ってくる可能性はほとんどないでしょう。

【利佐古ママさんからのその後の顛末】
 
朝顔の鉢にネットをかぶせて見張っていたのですが、2週間たっても変化がないので、アサガオの鉢を掘り返してみる決断をしました。
 鉢をひっくり返すとアサガオの根が随分しっかりと張り巡らされていて根を切りながらほぐしていったのですが...。結局それらしき姿が、見当たらないのです。ネットはゆるくかけてあったので、羽化して飛んでいった可能性はありますが、2匹とも抜け殻さえも見つからないというのはとても拍子抜けです(実は私的にとても盛り上がっていた)。でもおかげさまで、とてもたのしい?3週間をすごすことができました。

2000/8/1 東京都の吉田さんからの質問
 先ほど、友人から「成虫になった後に、再び蛹に戻って越冬をする蝶がいる」という話を聞きましたが、このような蝶は本当にいるのでしょうか?

【金沢学芸員の答え】
 そんな蝶の話は聞いたことが無く、いるとは思えません。トンボでも、あるいは昆虫全体でも、成虫が蛹にもどるものはいないと思います。
2000/8/1 東京都の竹中夕子さんからの質問
 猫の髭は自然に落ちるモノなのですか。もしそうなら、はえかわるのですか?

【樽野学芸員の答え】
 ひげも普通の毛と同じように寿命があって、はえかわります。
2000/7/31 大阪市のさくらさんからの質問
 現在、築20年ほどの社宅に住んでいます。5月半ばに階上のお宅で、アリガタバチが約200匹発生し、早急に「畳を真空状態にして殺虫する」という手段をとられ一件落着。その後また違うお宅で10匹ほど見つかり、違うお宅でまた1匹。最近我が家にも恐れていたアリガタバチらしき虫が2匹見つかりました。
 早速「バルサン」をしてみましたが、シバンムシはその後もチラホラ出てきます。乾燥食物より畳で見つかります。数枚畳をあげてみましたが、何もいませんでした。幸い噛まれた様子はありませんが、シバンムシとアリガタバチの駆除方法をお教えいただければ幸いです。

【松本学芸員の答え】
 アリガタバチが少数見つかるということは、まわりの部屋で発生したものが移動してきたか、部屋の中で発生しはじめているということが考えられます。シバンムシも見つかっているということですので、(虫にとって)条件が良ければ数が増えることも予想されます。できるだけシバンムシ(おそらくタバコシバンムシ)の発生を抑えることが重要です。
 対策としては、畳の上にカーペットなどを置かず、風通しをよくすることです。それでも発生が続くようでしたら、「畳を真空状態にして殺虫する」といった方法をとったらいかがでしょう。バルサンなどの薫蒸剤は部屋の密閉度などの関係で効き目もまちまちだと思います。

 アリガタバチの発生数は、シバンムシの発生数に大きく関係しています。アリガタバチが多いということは、それだけシバンムシの発生も多い、つまりシバンムシの生育に条件がいい(温度、湿度、エサなど)と考えられます。幼虫のエサとなるシバンムシが豊富であれば、アリガタバチも一気に個体数を増やして集団発生とも言える状況になることはあるでしょう。

2000/7/29 神戸市のおかわけんいちさんからの質問
 雑草がはえている横に、バイクを止めているのですが、そのシートカバーに、ちいさな虫が、いっぱい点在していました 大きさは1.0-1.5mmで、細長い殻のような物を背負って、うごいていた 色は、茶でした。なんていう虫なのでしょうか?気になってしかたありません よろしくお願いします。

【金沢学芸員の答え】
 この情報だけでは,種類を確定することはできません。しかし、ある程度は推定できます。
 まわりの雑草がイネ科だけであれば、シバミノガの1齢幼虫の可能性が高いと思います。ミノガの仲間の1齢幼虫は、糸を吐いて風に吹かれて移動します。到着先でミノを作って葉を食べます。たまたまシートカバーの近くに親ミノがあったのでしょう。
 木があれば、チャミノガなどの他のミノガの可能性もあります。また、細長い殻がミノ状でなければ、他の昆虫、クサカゲロウ類やハムシ類の幼虫の可能性もあります。

2000/7/27 枚方市の志賀真理子さんからの質問
 セミの産卵について質問します。セミは300〜800個の卵を産むと聞きましたが、
1)一度に300〜800個の卵を産むのですか?それとも1匹のセミが一生涯に産むのが300〜800個で、それを何日かに分けて産むのですか?
2)一度の交尾で300〜800個の卵を産むのですか?それとも何回か交尾して産むのですか?
3)1匹のメスが何度も交尾するのですか?
4)セミの種類によって卵の数は違うのですか?交尾の仕方、産卵方法もちがうのですか?

【初宿学芸員の答え】
 セミの産卵はもう観察できます。クマゼミやツクツクボウシなどは枯木や材に産みます。公園などでは植木にそえてある添え木に産んでいる光景も見られますので、一度さがしてみてください。アブラゼミやヒグラシでは生きた樹の幹の樹皮に産むようです。チッチゼミとハルゼミは植物の生きた枝に産み込みます。
 クマゼミの産卵痕は、材の表面がささくれ立ったようになるので、すぐにわかります。その数や産卵の様子から察すると、何度かにわけて何日かかかって産んでいるようです。
 「蝉の生物学」(加藤正世著、1956年、岩崎書店)には、オスは何度も交尾すると書かれてますが、メスについては記述がありませんでした。しかし、昆虫は一般に何度も交尾が可能なので、セミも何度も交尾はできるのではないかと思います。さまざまなセミの産卵数については記述がありませんでした。交尾の仕方についての記述を引用すると、
(アブラゼミは)「雄は雌の側方から近づいて尾端を接しV字型になる。ミンミンゼミも同じ姿勢になるが、ニイニイゼミやヒグラシでは、雄は半回転して反対向きになる。交尾の時間は10分から30分間ぐらいで、早く終わったものは、再び鳴いて雌を求めることがある。ニイニイゼミにはそのような習性がしばしば見られる。」

2000/7/27 倉敷市のMIDORIさんからの質問
 私が住んでるところは、平屋の古い借家です。春から秋頃までムカデが頻繁に出るので困っています。週に1、2回のペースです。家の周りにはムカデ駆除の白い粉薬をまいていますが、あまり効果がないように思います。床下がジメジメしているのかとも思い、見てもらいましたが、カラッとしていました。家の前に山があり、やはりそちらから来るのでしょうか?何かムカデに有効な対処方法はないでしょうか?
 それから、家には1歳前の赤ちゃんがいます。もし、赤ちゃんが刺された場合には、どうすればよいのでしょうか?すぐに病院へ連れて行った方がよいのでしょうか?

【金沢学芸員の答え】
 オオムカデは林床の落葉層の下に穴を掘って生息していますから、家の前の山からやってきている可能性が高いと思います。対処方法としては、家と発生源の山との間に乾燥した帯状の裸地部分を作るのがいいでしょう。そこに市販の忌避剤をまいてはどうでしょうか。
 オオムカデは毒を持っていますから、咬まれるとかなり痛くてはれるでしょう。応急手当としては、すぐ水道水などのきれいな水で傷口を洗い流して、抗ヒスタミン剤を塗り込みます。はれたら冷やします。
 大人の場合には、本人が症状を言うことができるし、体のサイズに比べて毒量が少ないですから、それほど心配は要りませんが、赤ちゃんではすぐに病院へ行った方がいいでしょう。オオムカデに咬まれて死んだという話は聞いたことがありませんので、咬まれても慌てる必要はないと思います。

2000/7/27 大阪府のF.Tさんからの質問
 大阪に住んでいるのですが、周りに全くクワガタやカブトムシがいません。今年8歳になる弟はクワガタは店で売ってる物だと、勘違いするぐらいです。出来れば弟と一緒にクワガタやカブトムシを捕りに行きたいのですが、どこに行けばいいでしょうか?近くには生駒山があるのですが、生駒山にはいないのでしょうか?

【初宿学芸員の答え】
 クワガタやカブトを採りに行きたいというのは、最もよく受ける質問の一つです。クワガタやカブトは、能勢、北摂、生駒山、大和葛城・金剛山地、和泉山脈など、大阪の周辺部のどこにでもいます。千里や和泉の丘陵地にもいるところはあります。以下を参考に探しに行ってみてください。
 (1)いろんな種類の樹の生えているところ(雑木林)を探します。大阪の山にはスギやヒノキ、マツ林などが多いのですが、このようなところではほとんど見つかりません。山奥に入ってしまっても見つかりません。人里と山の間ぐらい(里山)がよいです。
 (2)雑木林のいろんな種類の樹のうち、クワガタやカブトはクヌギが大好きで、アベマキやコナラも好みます。いずれも冬に葉を落とすドングリのなる樹です。植物図鑑で葉っぱの形を見比べながらさがしてください。
 (3)ドングリのなる樹のうち、樹液の出ている樹をさがします。幹の表面がしっとりと濡れていて、昼間にはカナブンやスズメバチ、タテハチョウの仲間が、その樹液をなめにたくさん集まっています。
 (4)カブトムシは夜行性ですから、そのような樹液の出ている樹に晩や早朝に行く必要があります(昼間は土にもぐっています)。クワガタも昼間は、たいてい樹の幹の間などに潜っています(ほじくると出てくることがあります)。
 (5)数は決して多いわけではありません。根気よくさがす必要があります。

2000/7/27 西宮市のとしちゃんさんからの質問
 カメムシの被害で困っており、生態を知りたいので教えて下さい。ホソハリカメムシは夜行性で、田んぼの中に入って稲を食べるのでしょうか?

【金沢学芸員の答え】
 ホソハリカメムシはイネの有名な害虫で、開花後のイネの種子を吸汁することで、斑点米の原因を作ります。
 ホソハリカメムシが夜行性だったかは、私の記憶では明確ではありません。イネカメムシやイネノクロカメムシなどの被害を防ぐための農薬散布は、夕方以降に虫体に直接散布するとなっていますので、夜間に活動するのではないでしょうか。夏に発生するカメムシ類は、たいてい昼間は根もとなどに隠れていて、夜に吸汁するのだと思います。

2000/7/24 仙台市の藤田考一さんからの質問
 先日、仙台市郊外の渓谷で、下の写真のような生き物を発見しました。見つけた瞬間は、オタマジャクシかと思いましたが、どうも違うようなので、教えてください。(サンショウウオでしょうか?)川の上流の岸辺にいました。水深3〜5センチ程度のところです。よろしくお願いします。


【和田学芸員の答え】
 サンショウウオの一種に間違いありません。まだ鰓が見えているので、比較的大きな幼生です。尾のひれがあまり発達しているようではないこと、足に爪が見えることから、流水性のサンショウウオを思われます。
 宮城県に分布するサンショウウオは、トウホクサンショウウオ、クロサンショウウオ、ハコネサンショウウオの3種とされています。このうち、流水性なのはハコネサンショウウオです。したがってハコネサンショウウオの可能性が高いと思います。

2000/7/22 石川県野々市町の本多郁夫さんからの質問
 先日ワルナスビを観察していましたら、雄しべの間を歩き回っている2種類の昆虫を見つけました。あまり鮮明な画像ではありませんが、名前を教えて頂けるとありがたいです。よろしくお願いいたします。



【金沢学芸員の答え】
 写真ではきれいに写っていても、種類がとても多い昆虫の同定はできないことをまずおことわりしておきます。
 上の写真はアザミウマ類の一種の成虫です。標本があっても種類までは難しいです。下の写真は非常に不鮮明ですが、触角の形態から、カメムシ類の幼虫と思われます。幼虫では標本があっても種類までは同定できません。

2000/7/19 北海道室蘭市の原田ユカリさんからの質問
 家の近所にピンクのバッタがたくさんいます。初めてみたのですが、よくいる種類なのでしょうか?教えて下さい。
 特徴は次の通りです。
  体長:現在のところ、3cm以上の個体は見てません。
  色:小さいのは、桃色で、大きいのは、赤紫にちかい、濃いピンク。
    腹の部分は、薄みどり色です。
  触覚:短い。たぶん、全長の4分の1より短いです。
  翅:退化しているのか、成長段階なのか、触覚よりももっと、短い。
  顔:縦長で、頭がとんがってます。眼も頭の形に合わせて、とんがってます。

【金沢学芸員の答え】
 本州で秋に「ピンクのバッタがつかまった」と時々話題になることがあります。たいていはバッタではなくて、クビキリギスというキリギリスの仲間の褐色型で赤みが強いものです。ところがクビキリギスは本州以南に分布していますから、室蘭市周辺には生息していません。
 特徴からすると、ヒナバッタ類かもしれないと思います。ヒナバッタ類は高緯度地方に約90種が知られ、北海道でも3種以上が生息するはずです。幼虫では区別が難しく、成虫でないと同定はできないでしょう。
 成虫と幼虫を数匹ずつ(できればオスとメスの両方。腹部の先端の形が異なる)捕まえて、ベンジンなどで殺して、乾燥したものを送っていただければ同定します。

【monitorの補足】
 その後、標本を送っていただき、ヒナバッタであることが確認されました。
2000/7/19 尼崎市の藤原さんからの質問
 唐突で申し訳ないありませんが、石器作成のための黒曜石という石を探しております。8月末にキャンプに行くのですが、そこで石器を使って料理をしたり、もりを作って、魚を獲ったりしようと、企画しています。ところが、どの資料を見ましても、閲覧用の小さい石しか販売などもしていません。近くにありましたら、採りに行きますが、なければ購入も考えています。
 黒曜石、あるいはそれに類するものがございましたら、ご紹介いただきたいのですが、よろしくお願い致します。

【石井陽子学芸員と樽野学芸員の答え】
 黒曜石は、火山岩の一種です。火山から珪素分の多いマグマが流れ出し、冷やされて急に固まると黒曜石になります。黒曜石はほとんどガラスと同じものなので、黒曜石の固まりを割ると鋭い割れ口ができます。有名な黒曜石の産地は、長野県の和田峠や、最近群発地震で被害が出ている伊豆諸島の神津島、北海道の十勝などです。大阪の近くでは、黒曜石は見られません。
 近畿地方では、サヌカイトが石器の材料として使われてきました。黒曜石よりは珪素分が少ない火山岩で、割るときには黒曜石よりも多少力がいります。大阪と奈良の境にある二上山の一部を作っている岩石ですが、この場合も、石器に使えそうな大きさと質のものをたくさん手に入れるのは困難です。
 私は、ガラス瓶の底で石器を作ったことがあります。大きなものは無理ですが小さいものなら作れます。
 なお、ガラスだけでなく黒曜石やサヌカイトでも、割れ口は大変鋭いので、割るときにはけがをしないよう注意が必要です。また、ナイフのようなものは、とりあえず割ればできますが、魚を突くための銛を作るのは、大変難しいです。

2000/7/16 東京都世田谷区の金谷繁さんからの質問
 ずいぶん前に、製薬会社のコマーシャルか何かで、赤い大型のインコの群れが、崖に集まって土を食べているところをうつしているのを見たのを覚えています。場所は覚えていませんが、外国の島のような地域だったと思います。
たしか理由は植物の種とかそんなものばかり食べているために、体にいろいろ不都合が生じるので、土を食べて、そこに含まれている物質、たしかカオリンとか何とか言っていたように覚えています、によって健康を維持するのだとか。
 今動物のその類の生態をいろいろ興味があって調べているのですが、上記の事例に関して詳しいことを教えて下さい。

【和田学芸員の答え】
 テレビで放映されていた”赤い大型のインコ”は、おそらく南米に生息するコンゴウインコand/orベニコンゴウインコだと思います。南米のオウム目鳥類の中には、粘土を食べる行動が知られているものがあり、中でも大型のコンゴウインコ類が、一番有名で、テレビや本などでもしばしば紹介されます。
 この行動は、微量元素を摂取するため、あるいは主要な食物である果実に含まれる有毒物質の毒消しのため、またはその両方などと言われています。しかし、こうした説は、まだきちんと検証されているわけではなく、想像の域を出ていないようです。

2000/7/15 千葉県の松浦さんからの質問
 学校の帰り道、巣から落っこちたらしいツバメのひなを拾ってしまいました。巣に戻すにも辺りに巣は見当たらなくて、家に連れて帰ったものの、何を、どうやって与えればいいのか、どうやって育てればいいのかが全くわかりません。
 ケガは無いようなのですが、まだ飛べないらしく、ずっと鳴いてばかりです。出来るなら、ちゃんと飛べるようになるまで、育ててあげたいと思っています。基本的な飼育方法と、与えていいエサ、悪いエサなども、出来たら教えてください。

【和田学芸員の答え】
 この季節は、鳥のヒナを拾ったという質問がよく来ます。できる限り親鳥の元に返してあげて欲しいと思います。スズメやヒヨドリと違って、ツバメの巣立ちビナは地上にはいません。したがって、巣立ちビナあるいは巣立ち直前の巣内ヒナが、何かの拍子に落ちてしまったと思われます。巣はわからなくても、元の場所近くに他の巣立ちビナがいれば、その近くに放してやるのが一つの考え方です。
 もし育てるならば、餌は、ミールワームとすり餌を適当に交互に与えて下さい。それから特にツバメのヒナの場合は、ビタミン剤を混ぜて与えないと、目や足の成長に悪影響がでるそうです。餌を口の前に持っていって、口を開けるようなら中に餌を入れて下さい。口を開けないなら、口をこじ開けて餌を与えることになりますが、そんなヒナはどこか調子が悪いので、うまく育たないことが多いでしょう。餌の量は成長具合で変わりますが、欲しがれば与えればいいと思います。
 まだ羽根の生えていない小さいヒナは保温が必要ですが、どうやらかなり大きいヒナのようなので、クーラーは効かず、直射日光があたらず、密閉して高温になりすぎない場所に置いておけばいいでしょう。
 足がしっかりしてきたら、とまり木にとまれるようにしてください。またその気になれば、自分でいつでの餌を食べれるようにしてください。それから、部屋の中ででも飛ぶ練習をさせてみてください(その際、窓ガラスに衝突して死んでしまうことがありますので、カーテンを引いておいた方が無難です)。一人で餌をついばむようになり、充分に飛べるようになれば、放すことを考えて下さい。ある日突然どこかで放すよりも、窓を開けて自由に出入りさせて、帰ってくる間は餌を与え、いなくなったら一人立ちしたと考えたらいいと思います。

2000/7/12 静岡の相羽さんからの質問
 先日友人から「会社の倉庫にコウモリが発生して困っている」との連絡がありました。彼が保健所に問い合わせたところ「そのコウモリは保護鳥獣に指定されており、保健所では対応できない」とのことでした。
 彼がいうには”家コウモリ”なるコウモリで保護鳥獣なのでむやみに駆除もできないとのことです。実際に糞などによる被害が出始めているらしく、すぐにでも対応が必要らしいです。なにか具体的な対処方法、あるいは過去の実例等教えていただければ幸いです。

【和田学芸員の答え】
 建造物に住み着いてるということなので、おそらくアブラコウモリ(イエコウモリとも呼ばれます)のことだろうと思います。コウモリ類を含め大概の哺乳類は、鳥獣保護法で保護されています。勝手に捕獲していいのは、大部分のネズミ類とモグラ類だけです。したがって、許可なくコウモリを捕獲することはできませんし、ましてや駆除するわけにもいきません(もしやったら密猟になります)。
 コウモリ自体は、カ等の昆虫を食べて暮らしています。むしろ害虫駆除に役立っているわけで、大切にしてあげて欲しい所です。コウモリが建造物に住み着くと、糞尿によって不衛生になるのは間違いありませんが、ツバメならば糞を落としても、それなりの対策をしてやさしく見守る人がたくさんいます。コウモリも、ツバメと同じように、糞尿で汚れる場所に何かを敷くなどして、まずは共存の道を探って欲しいと思います。
 どうしてもコウモリを出ていって欲しいなら、出入りの通路をふさいでください。アブラコウモリならば、親指大の穴があれば出入りできるので、かなり大変です。また、中にコウモリが閉じこめられると、中で死んで腐るので、まずはコウモリが夕方出ていく時間を調べて、全個体が出ていくのを確認する必要があります。さらに6-7月は、出産シーズンなので、中の子どもが残る可能性があります。コウモリを追い出すのなら、8月以降、冬眠に入る前に行なって下さい。
 驚かしてコウモリを追い出す方法が言われることがありますが、残念ながらその効果についてはよく知りません。

2000/7/12 神奈川県の鈴木忍さんからの質問
 朝、新聞配達をしているのですが、地面に新聞を置いておくと、よくダンゴムシが何匹か張り付いたまま動きません。また、割り箸にも張り付いているのをみかけました。ダンゴムシは、紙や木のようなものも食べるのでしょうか?

【山西学芸員の答え】
 ダンゴムシやワラジムシは植物遺体を主食としているようです。顎がよく発達しているので、割り箸のような固いものでも相手にできるでしょう。もちろん新聞紙なども、湿っていれば手頃な餌でしょう。

2000/7/11 和泉市の神田純治さんからの質問
 私の子供が家の近くでかみきりむしを獲ってきました。くろい体にしろい斑点のあるやつです。家で飼いたいといって聞かないのですが、飼えるでしょうか。飼えるとしたら、その方法を教えてください。

【初宿学芸員の答え】
 種類はゴマダラカミキリだと思います。野外ではヤナギ、ポプラ、プラタナス、ミカンなどの若い枝をかじって食べています。家で飼うときは、これらをとってきてケースに入れておくか、あるいは野菜のキュウリなんかをいれておいても、よろこんでかじって食べます。
 枯れ木につくカミキリムシの場合は枯れ木を入れておいて、卵を産ませたりもできますが、ゴマダラカミキリは生きた樹の枝に卵を産みつけるので、卵、幼虫とずっと飼うのはたいへんむずかしいです。

2000/7/7 箕面市の山東智紀さんからの質問
 日本の野生植物は、ほとんど判るのですが、最近、大阪の港近くや幹線道路沿いに今まで見たことのない植物が生えています。キク科の帰化植物であることは、間違いないのですが、名前がわかりません。
 その植物は、外見はアキノノゲシによく似ているのですが、葉のつき方が変わっています。もうすぐ花が咲きそうで、その高さは大きいものでは2m近くあります。その葉のつき方から、原産地はかなり日差しの強い国だと推測できるのですが、どうもその植物について載っている本がありません。そこで、名前と原産地を教えていただきたいのです。

【岡本学芸員の答え】
 ご質問の植物は、おそらくアレチジシャ(トゲチシャ)だと推測します。ヨーロッパ原産の帰化植物です。葉がねじれて縦になり、すべての葉が一平面に並ぶ奇妙な性質を持っています。長田武正さんの帰化植物図鑑(保育社)にも出ていますが、上記の葉の性質は、図、解説とも少し分かりにくいようです。口絵写真が分かりやすいかもしれません。
 日差しの強い国の原産だろうという推測は鋭くおもしろいですね。垂直に立った葉は、強い日差しをかわす形だと考えておられるのでしょうか。葉の展開する面の方向性はどうですか。
 垂直に展開する葉として思い浮かぶものにユーカリがあります。これは葉の茂みの内部まで光がとおり、多数の葉が光を受け取ることができる形と考えることもできます。長田さんの本の口絵写真には、群生している様子が写っています。集団の内部まで葉が残っているようにも見えます。
 ヨーロッパにはかなり広く分布していますが、もともとは南部のものだろうと考えられているようです。

 アレチジシャだと断定して話をしてしまいましたが、間違っているかもしれません。さく葉標本を送ってもらえば同定できます。さく葉標本の作成の際には、その種類が同定できるに必要充分な情報が盛り込まれるように配慮してください。注意点については、
こちらのホームページに掲載しています。
2000/7/6 群馬県のもろもろさんからの質問
 昨晩、寝つき始めた12:00頃に、脇に違和感(腋毛がムズムズする)を感じ、寝巻きのじんべえを脱いだところ体長7-8cmのムカデが出てきました。すぐに退治しましたが、つがいで行動しているならば、あと1匹はいるハズ…。ムカデはつがいで行動するものなのでしょうか?

【金沢学芸員の答え】
 家の中に入ってくる大きなムカデは、たいていオオムカデ1種類だけのようです。「ムカデがつがいで行動する」というのは、どこからの情報なんでしょう。ときどきそんなことを聞きますが、根拠のない噂です。シロアリの初期の巣からの連想でしょうか。あるいはゴキブリの「1匹いれば…」という話と混同しているかもしれません。
 オオムカデは、梅雨時に分散して、配偶行動をしますが、それが家の中とは限りません。オオムカデにとっては、家の中だろうが外だろうが関係なく、雌雄の出会いとエサを求めているだけだと思います。交尾が行われた後は、メスがたいていは地中の穴の中などで産卵・抱卵しますが、オスが協力することは報告されていません。

2000/7/5 岐阜県のゴジラさんからの質問
 最近、庭に白樺の木を植えましたが、いろいろな人に白樺を育てるのは大変難しいと聞きました。よく言われるのが、害虫がつきやすいとか根付くまでに時間がかかるとかなどでした。我が家にとっては大事な木なので上手な育て方をぜひ教えて下さい。ちなみに現在の白樺の大きさは高さ2.5m、幹の太さは直径5cmです。

【岡本学芸員の答え】
 シラカバは本州の中部以北の高原の涼しい土地の木で、また生育が早いかわりに寿命の短い木なので、大阪や東京の平地では、せいぜい20年もてばよく、枯れたら植え直す、というつもりで植えられています。岐阜県吉城郡であれば、気候条件は大分ましであると言えるでしょう。
 植え方は、平坦で排水のよい地がよく、砂敷きにして細流をあしらうというような工夫が有効です。陽樹であるので絶対に庇陰地にしてはなりません。また、浅根性であるので暴風の害を受けやすいことも考慮しておく。などの注意が必要です。
 アリやカミキリムシなどの害虫がつきやすいのはおっしゃるとおりです。成木の移植は難しいということで、実生や1m内外の苗での植え付けが普通のようです。

2000/7/2 船橋市の平栗さんからの質問
 トリカブトの葉っぱを食べる、アオムシと茶色の毛虫の名前と、成虫してからどんな蛾になりますか?トリカブトを食べても死なないのか不思議でした。

【金沢学芸員の答え】
 蛾の種類は5000種以上記録されており、幼虫がわかっているのは、大きな蛾の約半分です。トリカブトの葉を食べる青虫と茶色の毛虫という情報だけでは、種類はわかりません。今頃の幼虫は蛹になってすぐ羽化するものが多いですから、そのまま容器に入れて飼育するのが手っ取り早く確かめる方法です。
 トリカブトの毒に関して私は無知ですので、コメントはできませんが、ヒトなどの哺乳類にとっての毒成分が、昆虫にはあまり効かないという例はけっこうあるようです。

2000/7/2 東住吉区のサッカンさんからの質問
 今から20年前僕が小学校1年生のときに東住吉区の自宅の裏の川でものすごくでかいオニヤンマを見ました。体長は25センチか20センチぐらいは合ったと思います。僕はそれまでにオニヤンマを取った人を見ているし、図鑑も見ていたので、オニヤンマの大きさは知っているのですが、

最大でも105mmぐらいでしょ?ぜんぜん大きさが違いました。僕はそれを水中用の網で捕まえたのですが、なんとそのヤンマは、昆虫用ではなく水中用の網を破いて逃げていきました。残された網は大きく穴が開いていました。
 ちょうど探偵ナイトスクープでキダタローさんが、同じように大きなオニヤンマを見たといっておられました。今のところそんな超巨大オニヤンマはいないことになっているのですか?冷やかしではないんですが…。

【金沢学芸員の答え】
 体長30cmのオオムカデや、体長10cmのオオスズメバチの目撃談など、これまでの経験から、「尾ひれ」(人がびっくりした時に感じる大きさと実物の差のことを私はこう呼んでいます。ギャグまがいの誇張も含みます)は約2倍なので、問題のオニヤンマには尾ひれがついていると思います。
 キダタロー氏の発言はギャグです。真に受けないようにしてください。

【茂似太の補足】
 どうやら、金沢学芸員は頭から信じていないようです。信じさせるには、捕まえて見せるしかありません。もし捕まえた方がいたら、あるいは自分も巨大なトンボを見たことがあるという方がいたら、ぜひ博物館までご連絡下さい。


2000/7/1 長岡京市のかのっちさんからの質問
 おととしの7月から現在の住まいに住んでいますが、昨年からこの時期になると、台所にコバエが異常に発生して困っています。
 朝はいないのですが、仕事から帰ってみると100匹以上入るのではないかというくらい、窓や流しのまわりにとまっていることがあります。残飯は極力出さないよう、出た残飯についても、毎回、水を切って新聞紙に包み、袋に入れ固く結んで処分をしています。少しだけならと思って、流しの排水溝に食べ残しをおいたままにしておいたら、一晩あけて朝になると、10数匹のコバエが来ていました。また、おフロのお湯をふたを閉めずに張った時、おフロにコバエがいっぱい来ていました。そのときはおフロの窓をあけていたので、暖かさにつられてここから入ったのかなとも思い、それ以来、おフロの小窓もあけずにいます。
 なのに、なぜあんなにコバエがわくのでしょうか?どこから進入しているのか、どうやって対処したら良いのか教えてください。

【松本学芸員の答え】
 和名としてコバエというハエはいないので、おそらく小型のハエという意味だろうと思います。台所で発生する小型のハエとして考えられるのは、ショウジョウバエ、ノミバエ、チョウバエといったところです。
 ショウジョウバエは、体が黄色から茶褐色で複眼は赤いものが多い。飛び立ってもあまり遠くに行かずふわふわ漂う感じ。すぐにもとの場所に戻ってきてとまります。ノミバエは、動きが素早くトコトコ、トコトコと歩き回ります。体はスリムで後ろ脚の一番長い節が平たくなっています。チョウバエは、体が細かい毛に覆われているので、一見非常に小さなガのようにみえます。これはじっととまっていることもありますが、くるくると円をかくように歩き回ることもあります。
 これらはどれも腐敗した動植物質のもの(食品の残りの腐ったもの、排水パイプの壁面に付着したゴミなど)から発生するので、気になるようでしたらこれらを徹底的に管理するしかないと思います。また暖かさにつられて外から入ってくるということはないと思いますが、腐敗した動植物質は誘因源になりますので、排水パイプなどをチェックしてみてはいかがでしょうか。

2000/7/1 横浜市のK.H.さんからの質問
 最近家の中(鉄筋のマンションの4階)に変な虫がいて困ってます…。体長は3-8mm位で、体型は葉巻を縦に切って平たく潰したような流線型をしていて、色は黒っぽいです。潰すとわりと柔らかくすぐにつぶれ、うらは白っぽいです。動きはわりと早くすぐ隙間に入ってしまいます。
 絨毯と壁の隙間から良く現れたりします。また台所の流しやオーブンの下の配管スペースや押入の下に隙間などに良くいます(先日オーブンの下を調べたところ《床の配管スペース》に20匹くらい動いていました)。
 今のところ、これといって害はないのですが、家中にいるみたいでなんだかとても気持ち悪いです。もし解れば虫の名前と駆除の方法を教えて下さい。

【金沢学芸員の答え】
 特徴からは、セイヨウシミのような気がしますが、横浜市や大阪市などは日本で記録がない外来の昆虫が発見されやすい地域なので、これだけでは断定できません。たくさん捕まえて、実物を近くの自然史系博物館か保健所で見てもらって下さい。
 昆虫は種類数がとても多いので、種名がわからないと、駆除の方法はわかりません。

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