質問コーナー 過去のやりとり(1998年1月-6月)

寄せられた質問 ・ 質問への回答

質問

1998/6/23 堺市の川崎万基子・博之さんのホウネンエビについての質問
1998/6/13 奈良女子大学の荒川祥子さんの評議員と博物館への就職についての質問
1998/6/5 佐賀市のジャスミン♪さんの恐竜の正式名称についての質問
1998/5/10 和歌山市の金森浩平さんガについての質問
1998/4/23 高石市の匿名希望さんのアシナガバチについての質問
1998/3/8 静岡市の伊藤美貴さんの共生についての質問
1998/3/3 千葉県の福田文彦さんのヒロバネカンタンについての質問
  
→その後の展開があります。ヒロバネカンタンの分布論争?を参照してください。
1998/2/4 堺市の川崎益彦・ 川崎博之さんの哺乳類のへそについての質問
1998/2/3 大阪市の前田武志さんの社会人の学芸員資格取得についての質問
1998/1/27 奈良市の浦野真里さんの魚の色覚についての質問
1998/1/26 東京都の 匿名希望さんのクビキリギスについての質問


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質問への回答

1998/6/23 堺市の川崎万基子・博之さんからの質問
 今年、12年間休耕していた田んぼの土をとってきて、水を入れたところ、ホウネンエビが孵化しました。
Q1.ホウネンエビに関する本があれば紹介してください。
Q2.カブトエビは脱皮して成長すると書いてありますが、ホウネンエビも脱皮するのですか。
Q3.卵は乾燥状態では半永久的に生きるのでしょうか。
Q4.卵が死ぬとは、卵を覆っている殻が壊れたときだけでしょうか。
Q5.堺市太平寺あたりの田んぼでは、ホウネンエビの方がたくさんいるようなのですが、他の地域では、カブトエビばかりのところもあるようですし、それは何によって決まるのですか。

【動物研究室の山西学芸員の答え】
 以下の答えは、ホウネンエビを研究されている京都大学生態学研究センターの安井行雄さんに、ご教示いただいた上で、作成しました。安井さんどうもありがとうございました。

Q1.ホウネンエビに関する本があれば紹介してください。
 
日本語の本は多分無いと思います。参考になる文献としては、蓮池&山田(1995)「ホウネンエビを使った実験- 周年培養を中心にして-」遺伝 49(5): 59-63、があります。

Q2.カブトエビは脱皮して成長すると書いてありますが、ホウネンエビも脱皮するのですか。
 
節足動物の一員ですから、やはり脱皮します。

Q3.卵は乾燥状態では半永久的に生きるのでしょうか。
Q4.卵が死ぬとは、卵を覆っている殻が壊れたときだけでしょうか。
 
乾燥や高温に対して強い耐性をもつことが知られており、海外の近縁種では数十年生きるそうなので、12年生きていてもそれほど不思議ではありません。乾燥したままで何年生き続けることができるかは、よくわかりませんが、ある程度の年数が過ぎると死んでしまうと思います。
 乾燥した状態には強いですが、物理的な破壊に対する強度が強いわけではありません。アメリカではオフロード車が原野を走り回ることがBranchinectaの休眠卵を破壊して,それがこれらの種の絶滅が危惧される要因の一つになっているようです。

Q5.堺市太平寺あたりの田んぼでは、ホウネンエビの方がたくさんいるようなのですが、他の地域では、カブトエビばかりのところもあるようですし、それは何によって決まるのですか。
 
むずかしい質問です。正直言ってよくわかりません。ただ、あるところに定着すると、毎年決まって発生する傾向があるように思います。


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1998/6/13 奈良女子大学の荒川祥子さんからの質問
 私は友の会の行事に参加したり、Nature Study を読んだりしているうちに、自然史博物館で働きたい、という気持ちが強くなりました。評議員 という言葉をよく見かけますが、これはどのような仕事に携わる人なのでしょうか。また、自然史博物館に就職するためのプロセスを教えてください。

【茂似太の答え】

Q.評議員 という言葉をよく見かけますが、これはどのような仕事に携わる人なのでしょうか。

 評議員というのは、自然史博物館友の会の評議員のことだと思います。友の会の運営に関わることを、学芸員と一緒に考えるのが、仕事です。月例ハイキング、合宿、総会など、(館の行事ではなく)友の会の行事では、学芸員と協力して(というより評議員の方が主役でしょうか)運営します。その他に年間5回の評議員会に出席したり、友の会グッズを考えたり、いろいろと大変です。
 友の会の評議員になるのに、友の会の会員であること以外に、とくに資格はありません。ただ通常は、行事などに熱心に参加されるなど、自然史博物館との関わりの深い方にお願いしています。一般からの推薦も受け付けていて、昨年のNature Studyの10月号の12ページには、推薦のお願いの記事が載っています。推薦はなかったですけど・・・。

Q.大阪市立自然史博物館に就職するためのプロセスを教えてください。

 もし事務系の職員としての就職なら、大阪市の職員採用試験を受けてください。でも採用されても自然史博物館へはまず配属されないし、配属されてもほんの3-4年しかいられません(また異動になるので)。友の会や標本整理などのアルバイトもいますが、新たな口はほとんどありません。
 で、学芸員になる方法ですが、とりあえず大学院へ進んで、研究者を目指した勉強をして、それなりの業績をあげながら、チャンスを待ってください、としか言いようがありません。私も今でこそ学芸員をしていますが、採用される数カ月前まで、まさか自分が学芸員になるとは思っていませんでした。
 学芸員の募集自体そうたくさんあるわけでもなく、さらに自分の専門分野にあった募集があるかどうかは賭けです。学芸員はなろうと思ってなると言うよりは、研究者を目指す選択肢の一つと考えるべきでしょう。それでも博物館の近くで、学芸員達と関わりを持ちながらいろんな活動をしていれば、少しはチャンスは多くなるかもしれません。
 文系の博物館などでは、学芸員資格を持っていることが採用条件になっていますが、当館(たいていの他の自然史系の博物館も)の採用条件に学芸員資格は関係ありません(なければ採用されてから試験を受けて取ります)。募集分野で一人前の研究者かどうかが問われるポイントです。


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1998/6/5 佐賀市のジャスミン♪さんからの質問
 はじめまして。恐竜の正式名称について教えていただきたいのですが、「Tyrannosaurus」は、「ティラノサウルス」と言うのが本当なんですか? あるいはテラノザウルス? テイラノザウルス? ネットで検索していても色々呼び方があるようですね。私が疑問に思ったのは、ある博物館で「タイラノザウルス」と書いてあったからです。国内の博物館で名称の統一はされていないようですね。どれが正式名称でしょうか?

【地史研究室の樽野学芸員の答え】
 学名はラテン語なのでラテン語式に読めば良いということになります。しかし、現在ラテン語は話されていないので困ります。ローマ字読みするのがよいと思います。「Tyrannosaurus」について、よく使われている読み方は「ティラノサウルス」です。しかし、ローマ字読みすると「ティランノサウルス」となってしまいます.そう書いてある本もあります。

【茂似太の勝手な補足】
 
正しいつづりは決まっているが、正しい発音の仕方は決まっていないというのが本当のところです。英米の人は、英語読みをしますし・・・。また外国語の発音をどのようにカタカナ表記するかという問題もあります。というわけで、残念ですがカタカナ表記での統一された正式名称はありません。正確を期するなら、カタカナで表記せずに「Tyrannosaurus」と書いて下さい。

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1998/5/10 和歌山市の金森浩平さんからの質問
 ぼくの家の庭でカイヅカイブキの生け垣に3月くらいから毛虫がたくさんつき、1日に30〜50匹ぐらいずつ退治してきました。近所にもその毛虫が大量に発生していることが分かりました。

 どんな蛾になるのか興味があったので、そのうちの1匹をつかまえて飼ってみました。幼虫の時は、体長約5cmだったのに、成虫になると約3cmになりました。この蛾は、死んだように動かないかと思ったら、棒で突っつくと急にすごいスピードで飛びます。また、不思議なことですが、羽化したとき、飼育容器のまわりに5〜6匹の同種の蛾が集まっていました。
 この蛾の名前をぼくの図鑑で調べましたが、分かりませんでした。どうかこの蛾の名前や生態を教えて下さい。

【昆虫研究室の金沢学芸員の答え】
 写真はスギドクガ(ドクガ科)の幼虫と成虫(メス)です。スギ、ヒノキ、サワラ、カイヅカイブキなどの針葉樹の葉を幼虫が食べます。成虫は年2回、5〜6月と7〜8月に発生し、幼虫で越冬します。ガのほとんどは夜行性ですから、昼間はじっとしています。つつかれると、食べられると思って、逃げます。ガやチョウでは、成虫になると、ハネが大きく立派になるので、体長(ふつう頭の先から尾端までで、触角は含めません)は短くなります。ガやチョウの、成虫になって食べない種類では、羽化してすぐ交尾するものがほとんどです。オスにとっては、未交尾のメスを見つけることが大切なことなので、羽化したてのメスを探すのがうまいようです。ガラスで密閉せず、網をはった飼育容器を使っていて、さらに飼育容器を外に出しておくと、匂いや姿にひかれてオスが集まることも考えられます。オスはメスより少し小さく、黒っぽい体色で、触角がくしの歯状になっていますから、見分けることができます。

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1998/4/23 高石市の匿名希望さんからの質問
 家のベランダ付近に、多分アシナガバチだと思いますが、巣を作り始めています。せっせと作っている六角形の巣を見ていると、どれくらい大きくなるんだろうと、興味も手伝って、そのままにしてあげたい気分です。アシナガバチは、スズメバチのように攻撃性があるのですか。また、あの巣の材料は一体なんですか。よろしくお願いします。

【昆虫研究室の金沢学芸員の答え】
 アシナガバチとすれば、大阪市などの市街地なら、フタモンアシナガバチかセグロアシナガバチです。巣はこれからどんどん大きくなって、8月末には直径15セン チ位になります。巣に近づいたり、触らない限りは、攻撃してきません。近くの作物などの害虫退治をしてくれますし、観察の対象にした方がよいと思います。毎年、越冬したメスバチ(女王バチ)が今ごろに単独で巣を作り始めます。巣を取り除くなら、働きバチが羽化する前です。メスバチが外役に出たら、巣をこぎ落とします。また巣を作ったら、また落とします。すでに働きバチがいるなら、放っておくのがよいでしょう。
 アシナガバチ類はスズメバチ科に属し、スズメバチ類に近いグループですから、ほとんど同じような生活をしています。体が少し小さくて細長く、巣のおおいがないことが特徴です。スズメバチと同じように攻撃性はあります。巣を守るために働きバチが攻撃をします。
 巣の材料は近くの枯れ木や朽ち木からかじりとった繊維です。それに唾液を混ぜて、巣を作ります。

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1998/3/8 静岡市の伊藤美貴さんからの質問
 今、『自然の中の共生』というテーマで例題を探しております。例えば、ミミズなどの土壌生物と森林の関係など、何かと何かは、こんないい関係を結んでお互いを活かし活かされ、共存している…という内容のもので、なるべく大きな生態系に関わってくるようなお話をご存知ないでしょうか。植物、動物、昆虫、海洋生物など、自然界であれば何でも結構です。ご存知でしたら、どうぞ教えて下さい。よろしくお願いします。

【植物研究室の岡本学芸員の答え】
 昔は、「共生」という言葉は、主として「相利共生」の意味で使われて来たように思います。
 いま使われている共生と言う言葉は、「一緒に生きている」というくらいの広い意味で使われているように思います。その意味で、最も大きな共生は「植物と動物と菌類」の共生でしょう。植物は太陽の光のエネルギーを固定し(地球上で最も大きく、効率の良い第一次エネルギー固定システム)、動物はそれを食べ、菌類はそれを植物が利用可能な形態に戻す。それぞれの生物群が、それぞれの利益を追求しているのですが、それが、お互いの生き方をより増進する結果となっている。実際に、植物は食べてくれる動物、分解してくれる菌類がいなかったら、今のように活発に再生産できないのは確かでしょう。もちろん、それぞれの植物種(植物個体?)は、食べられる被害を、最小限に押さえようと、大変な努力をしているのですが。
 植物と動物の相利共生の大きな例としては、食べられることを、植物にとって重要な生殖活動に利用する、ということが考えられます。植物にとって、動けない(動かない)ということは大きな制約です。動物に食料を提供することで、植物のこの制約を大きく改善しているものが知られています。花と花粉媒介動物、果実と種子散布動物の関係などです。これらの例は、「平凡社刊の地球共生系シリーズ」にたくさん紹介されています。
 小さな例になると、その相利共生関係の見事さは、驚くべきものになります。一例として、「イチジクとイチジクコバチ」があります。イチジクコバチの仲間は、イチジク類の子房に寄生して生きています。一方、イチジク(イチジクの仲間は、外から見えない壷の内部に花をつけます)は、このコバチによってのみ花粉媒介されるのです。詳しい内容は、博物館の展示をご覧になるか、本(田村道夫編;日本の植物-分類学研究ノート(培風館))を読んで下さい。

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1998/3/3 千葉県の福田文彦さんからの質問
 一昨年の10月頃に茨城県常陸太田市にて、ヒロバネカンタンと思われる個体を、捕獲したのですが、正確な検索図鑑のようなものがないので、困っています。後脚の脛節の内側のとげは、3本だったのですが、、、。教えて下さい。

【昆虫研究室の金沢学芸員の答え】
 ヒロバネカンタンとまぎらわしい種類はカンタンですが、大阪近辺では平地にヒロバネカンタン、山地にカンタンがいて、すみ分けています。カンタンがほとんど日本全国にすんでいるのに対して、ヒロバネカンタンは関東以西に分布しています。
 後脚脛節の先端のとげを除く、内側の大きなとげは、ヒロバネカンタンで3本ですが、カンタンでは3本以上と言われています。つまり3本では、どちらの可能性もあるわけです。簡単な見分け方としては、採集したばかりの新鮮な個体で、腹部腹板が白っぽいものがヒロバネカンタンで、黒いものがカンタンです。標本状態が悪いと、わかりにくいことがあります。その他としては、「オスでヒロバネカンタンの前翅が、名前のとおりに広く、カンタンで狭い。メスの産卵管の先端の1対の突起がヒロバネカンタンで短く、カンタンで長い」という違いが、当館の収蔵資料目録第15集「日本の直翅類」の44ページに図入りで掲載されています。この「日本の直翅類」は近くの自然史系博物館で見ることができると思いますので、問い合わせて見てください。

 →その後の展開があります。ヒロバネカンタンの分布論争?を参照してください

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1998/2/4 堺市の川崎益彦・ 川崎博之さんからの質問
   いま学校で「おへそってなあに」という本をならっています。それで、ほにゅうるいには、みんなへそがあるんですか? たとえば、くじらや、カンガルーにもへそはあるのですか。
 それと、ほにゅうるいはみんな、頭から産まれるのですか?
 ついでに、教えてもらいたいのですが、5つ子などの場合、一つの胎盤からへその緒が5本出ているのですか?それとも、胎盤自体が5つあるのですか?

【地史研究室の樽野学芸員の答え】
> ほにゅうるいには、みんなへそがあるんですか?たとえば、くじらや、カンガルーにもへそはあるのですか。
 卵をうむ単孔類(カモノハシやハリモグラ)を除いて、すべての哺乳類にはへそがあります。ただし人間のへそのようには目立ちません。ずっと前に実家で飼っていたイヌをひっくり返して、イヌのへそがどんなものか観察したことがあります。子供のうちははっきりしているのですが(それでも人間のようには引っ込んでい

> それと、ほにゅうるいはみんな、頭から産まれるのですか?
 足から生まれるのもあると本で読んだことがあります。

> 5つ子などの場合、一つの胎盤からへその緒が5本出ているのですか?それとも、胎盤自体が5つあるのですか?
 5つ子の場合は、排卵誘発剤を使っていますので、卵細胞が5つあったという事ですから、それぞれ着床するので、胎盤は5つできます。二卵性双生児の場合も同じく二つできます。一卵性双生児の場合には、一つの場合と二つの場合があります。

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1998/2/3 大阪市の前田武志さんからの質問
   美術館や博物館に行くのが好きで、特に化石の展示会などに よく足を運んでいます。すでに就職も決まっていますが、社会人になっても学芸員資格を取ることは可能でしょうか? また、その資格を取る方法はいかがなものでしょうか?(大学に再入学、あるいは通信添削などとか)

【茂似太の答え】
 社会人になってから学芸員資格を取得することは可能です。事実、当館の学芸員は一人を除いてみんな、博物館に採用されてから学芸員資格を取得しました。
 要するに必要な科目の単位をそろえればいいわけで、毎年11月半ばに東京で行なわれる試験を受ける方法や、通信教育、大学への再入学など、方法はいろいろあります。長い間、教員や大学の教官をしていれば、無試験認定というのもありますが、通常はまず無理です。以下では試験を受ける方法について、もう少し説明しておきます。
 1996年の受験要項を見ると、専門科目2つ(文化史、美術史、考古学、民俗学、自然科学史、物理、化学、生物学、地学)、生涯学習概論(かつての社会教育概論)、博物館学、視聴覚教育メディア論(かつての視聴覚教育)、教育学概論(かつての教育原理)の単位を取る必要があります。大学でこういった単位を取っていれば、試験を受ける必要はありません。理系ならけっこう専門科目の免除は受けられるものと思います。教員資格をとっていれば、教育学概論なんかも免除できるでしょう。たしか今年か来年から試験科目が変わったような気もします。確認して下さい。
 受験要項は、毎年4月頃に、各都道府県の教育委員会の広報に載ります。受験申し込みは、住民票のある都道府県の教育委員会を通じて7-8月頃に行います。受験科目の免除が受けられるかどうかを含めて、とりあえず住民票のある都道府県の教育委員会に問い合わせてみてください。

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1998/1/27 奈良市の浦野真里さんからの質問
  釣具屋さんには色のきれいなルアーがいっぱい並んでいますが、魚は色がわかるのですか。また、深いところは暗いと思うけど魚は目が見えているのですか。

【動物研究室の波戸岡学芸員の答え】
 井上実著の「魚の行動と漁法」(1978年、恒星社厚生閣)を参考にして答えさせていただきます。なお、魚類は多種多様ないきものの集まりなので、以下の答えがすべての”魚”にはあてはまらないということを念頭に置いておいてください。

> 魚は色がわかるのですか
 赤と青といったような違いならわかるようですが、波長の似かよった緑と青といった色に関しては魚種によって識別が困難になるらしいです。なお、魚類では可視範囲がヒトに比べて短波長側(紫側)に幾分ずれているそうです。

>深いところは暗いと思うけど・・・
 色を感じる網膜内の細胞(錐体)は,ヒトでは0.03〜0.1luxから反応し,魚類では0.001〜0.01luxぐらいから反応するそうなので、魚類はすくなくともヒトよりは暗いところでも色彩の識別ができるのではないかと思います。0.1luxはだいたい満月の夜の明るさぐらいです。真っ暗闇ではやはり無理ではないですか。深海で魚類が釣れるのはむしろ他の感覚によっていると思います。

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1998/1/26 東京都の 匿名希望さんからの質問
  Q1.クビキリギスという昆虫は日本以外に中国にも生息するかどうか教えてください。
  Q2.またクビキリギスの生息時期はいつですか?

【昆虫研究室の金沢学芸員の答え】
> Q1.クビキリギスという昆虫は日本以外に中国にも生息するかどうか教えてください。
  日本産昆虫総目録(「クビキリギリス」という和名で掲載、1989年出版)によれば、クビキリギスは本州以南の日本に分布するとなっています。対馬や与那国島にも分布するので、台湾や中国にもいると考えられますが、1989年まで記録はなかったのでしょう。その後中国の情報が増えていますので、ひょっとしたら報告があるかもしれません。

> Q2.またクビキリギスの生息時期はいつですか?
 「クビキリギスの生息時期は?」という質問を「クビキリギスの成虫の発生期は?」と読みかえれば、「8月以降です」という答えになります。8月以降の秋遅くに羽化して、成虫で越冬して翌年の初夏によく鳴きます。遅いものは7月上旬まで活動して死んでしまいます。卵は初夏に産まれ、幼虫が8月以降に成虫になるわけです。

【茂似太の注釈】
 
もし中国にもクビキリギスが生息するという情報をお持ちの方がいましたら、monitor@omnh.jpまでお知らせください。
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